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山口昌男の手紙
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山口昌男の手紙
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著者の大塚信一さんはこの前まで岩波の社長をしていた人であり、本書より先に『理想の出版を求めて』という本を出している。岩波の多くの本の編集をしてきた人だ。本書は、その中でもしばしば触れられている山口昌男からの手紙とそれに対する、そのときどきの大塚さんのコメントを入れて編まれたもの...
著者の大塚信一さんはこの前まで岩波の社長をしていた人であり、本書より先に『理想の出版を求めて』という本を出している。岩波の多くの本の編集をしてきた人だ。本書は、その中でもしばしば触れられている山口昌男からの手紙とそれに対する、そのときどきの大塚さんのコメントを入れて編まれたものである。大塚さんは、山口昌男がまだ無名のころからその才能に気づき、山口の強烈な個性につきあってきた。山口の本に対する執心はかなりのもので、印税の前借りをしてでも本を買おうとしたらしい。大塚さんはそんな山口の奔放さに当惑しながらも、その魅力に惹かれ、山口の成長を喜び育て、また自らも成長していった。しかし、同時に山口が有名になり、本への執着が薄くなり、大塚さんへの手紙も減ってくると、大塚さんも山口さんに対しかつてほどの情熱をもって接しなくなる。山口昌男はまだ存命であり、かれに対する大塚氏の毀誉褒貶が各所に現れるこの本を本人も読むことを考えると、この本を出した大塚信一という人はただものではないと思った。
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