北京 皇都の歴史と空間 中公新書

倉沢進, 李国慶【著】

• 販売会社／発売会社: 中央公論新社/
• 発売年月日: 2007/08/25
• JAN: 9784121019080

商品レビュー

2024/01/31

北京という都市の歴史的な変遷をたどれ、北京へ旅行に行きたくなった。
オリンピック開催前なので情報は古い点があるが、現在の北京が驚くべき速さで発展したことにも同時に驚く。
発展と同時に失われていく老北京の風景・人間関係はまさに日本の戦後〜高度経済成長への変遷を見ているよう。日本よりも高速で、さらにひとりっ子政策で家族の形も一気に変わっているから、北京生活の変わり様はすさまじいのではないか。社会の歪みも大きいのではと推察する。
歴史的な観点からも、これからの経済的観点からも、北京には様々な魅力がある。

2021/02/12

10年以上前に書かれた本だが今(2021年)の北京を知るうえでとても参考になった。古代の首都になる前からの歴史に始まり、現在の北京の空間的構造がどのように形作られたかを丁寧に解説している。
新中国の北京では、職場である「単位」が生活サービスを提供する単位社会であったが、近年は地域の社区によるコミュニティに再編されている。社区の運営を担い様々な生活サービスを行うのが居民委員会で、新型コロナウイルス発生以降も行政を補完する末端として活躍したとされる。
北京の住宅に目を向けると、時代を追うごとに平屋四合院→中層集合住宅→高層集合住宅と変遷しており、それぞれ近世、社会主義、改革開放の時代を体現している。現在でもその移り変わりを観察できるのは北京の面白いところ。

2017/06/28

かつて橋本健二の「階級都市」を読んで、都市空間の時代を超えた変遷に歴史の変化を実感した記憶がある。現在の東京の風景には過去の貧しかった時代の名残が刻まれているのだ。
本書を手に取ったのも、古い歴史を誇る中国の首都「北京」の都市空間と時代との関連を知りたかったからである。さすが中国、規模が大きい。
とりわけ北京の人口である。本書では2005年1500万人とある。なんと東京以上の大都会とは知らなかった。ちなみにウイキペディアで検索してみると2014年2150万人とある。これでは習近平が近くに大都会建設を計画するのもむべなるかなである。
しかし、いかんせん小生には北京の地理は全くわからない。本書の面白さも半減である。しかし北京の歴史的文物への興味もかきたてられた。是非一度は北京を訪れてみたいと思えた。

2017年6月読了。