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モスラの精神史 講談社現代新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 講談社/ |
発売年月日 | 2007/07/19 |
JAN | 9784062879019 |
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モスラの精神史
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商品レビュー
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(01) 1961年の映画に表された怪獣モスラのルーツや背景,そしてそのなれの果てについて解釈が加えられる.戦後日本が置かれた,特に対米関係の情況,日本の伝統的な生産物としての絹と蚕糸業のために飼われた蚕,南島や南洋へ向けられた日本の視線,興行的な仕掛けをもった映画の仕掛け(*0...
(01) 1961年の映画に表された怪獣モスラのルーツや背景,そしてそのなれの果てについて解釈が加えられる.戦後日本が置かれた,特に対米関係の情況,日本の伝統的な生産物としての絹と蚕糸業のために飼われた蚕,南島や南洋へ向けられた日本の視線,興行的な仕掛けをもった映画の仕掛け(*02),ダム(*03)やタワーのモダニズム,中村信一郎,福永武彦,堀田善衛がなした原作との相違,ゴジラほか他の怪獣映画や特撮映画との関係,同時代性のある文化の総合として現れた1970年の大阪万博などがその内容である. (02) 映画モスラにも女性たちが踊るレビューのシーンが含まれ,怪獣映画の原型としてのキングコングに言及される.キングコングも見世物としてニューヨークに持ち込まれ,モスラも怪しい興行師によってザ・ピーナッツが演じるエンファント島の小美人がその故郷を離れたところにモスラ進撃の動機があることを指摘している.モスラに限らず,歌って踊る映画が,映画前夜の劇場での演目をなぞっていることに注目しており,面白い. (03) 都内の水源地として奥多摩湖を作る小河内ダムから幼虫モスラが突如として現れた理由を考察し,太平洋沿岸からやってきて海岸に上陸してきたゴジラとの違いについて説明される.青梅街道や中央線沿いに東進し,渋谷を経由して,東京タワーで繭をつくるモスラのコースにモダニズムへの批判を著者は読んでいる.その南には近代において八王子から横浜へと通じる絹の道があった.あるいは,絹の道の集散地となっていた八王子や青梅に引きずられて,モスラが奥多摩に現れたのかもしれない.
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積読本をかたづけようシリーズ。 2007年発売。 1961年公開の『モスラ』を読み解く。 中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の三人による(なんと豪華!)原作『発光妖精とモスラ』との違い、『キング・コング』の影響、蛾の怪獣にみる養蚕の歴史、インファント島という南方幻想、原...
積読本をかたづけようシリーズ。 2007年発売。 1961年公開の『モスラ』を読み解く。 中村真一郎、福永武彦、堀田善衛の三人による(なんと豪華!)原作『発光妖精とモスラ』との違い、『キング・コング』の影響、蛾の怪獣にみる養蚕の歴史、インファント島という南方幻想、原水爆の実験地として、南方戦線の記憶として、当時の安保条約との関連、小美人ザ・ピーナッツにみる日劇のレビューなどなど。 川端の『雪国』から三島の『絹と明察』『潮騒』『美しい星』まで引用されていたり、後半の万博や王蟲との関連など、風呂敷を広げすぎた感はあり、まとまりにはかけるのだけど、公開当時の1961年という時代がみえてくるのはおもしろい。 『モスラ』はだいぶ前に見ているけれど単純にめちゃくちゃおもしろい映画として見ていたので、当時の観客がそこに戦争の記憶や安保闘争、原水爆実験などの意図を感じていただろうとは思い至りませんでした。 たとえば、「モスラ〜ヤ」で有名な『モスラの歌』はインドネシア語で書かれていてインドネシアからの東大留学生に翻訳を頼んだ。1958年のインドネシアとの国交回復により、賠償の一環としてインドネシア指導層の子弟が日本に留学するのだが、翻訳を頼んだ東大生とはこのひとりだったのではと著者は推測する。 「モスラ〜ヤ」の歌を聞くとき、当時の観客は元占領地としてのインドネシアを思い浮かべたかもしれない。製作者たちの南洋従軍経験からもインファント島は描かれている。 「もともと青森・秋田・岩手の北東北に広がる風習で、正月にイタコが訪れて、一対のオシラ様を使って話をする。桑の木で作られる棒を使用する地域も多いようだが、内容としては「馬にほれた娘が同衾するようになったので、親が馬を殺すと、娘が後を追って亡くなってしまう。そして、夢のなかで、馬の首に似た虫を育てることを親に促すが、それが蚕だった」という異形との婚姻を扱った話である(「蚕」が馬と娘をつなぐ連想をもつなら、川端の『雪国』に登場する二人の女性が「葉子」と「駒子」と名づけられているのは示唆的に思える)。」 「ロンドン動物園の創始者のひとりが、初代のシンガポール総督であり、いまもホテルに名を残すスタンフォード・ラッフルズであったのは偶然ではない。」
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『モスラ』の映画1本でこんな深く読み込めるんだ~と感心した。平成版モスラが公開されたころ、「モスラは女性に人気があってゴジラは男性に人気があ」って、その理由は「モスラは母性本能を刺激するから」みたいなことを雑誌だか新聞だかで読んだ覚えがあるんだけれど、小美人ーモスラの関係が母ー子...
『モスラ』の映画1本でこんな深く読み込めるんだ~と感心した。平成版モスラが公開されたころ、「モスラは女性に人気があってゴジラは男性に人気があ」って、その理由は「モスラは母性本能を刺激するから」みたいなことを雑誌だか新聞だかで読んだ覚えがあるんだけれど、小美人ーモスラの関係が母ー子なら、たぶん上の母性本能云々はモスラの形体から言ってるんだろうけれど、あながち間違ってないのかな、と。で、いろんな角度から1本の映画を読み込むという面白みはあったけど、例えば172pでの『座間にある厚木基地の陸軍』って、厚木基地は座間にないし、厚木基地は陸軍じゃないし、陸軍はキャンプ座間だし、と校正ちゃんとしてんのかなと思うと(私が読んだのは第1刷だけど)、他にもそういう箇所があるのかな参考文献がいろいろ上がってても大丈夫かなとちょっと思ってしまう。
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