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ジャンヌ・ダルク 中公新書
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 中央公論新社/中央公論新社 |
発売年月日 | 1967/08/25 |
JAN | 9784121001382 |
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ジャンヌ・ダルク
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商品レビュー
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ジャンヌ・ダルク――その名は誰もが知るが、百年うち続く英仏の争いを、神のお告げに依拠してみずから軍を率いて、大きな旗を持ち軍隊を従える馬上の少女は、神秘に満ちている。日本を含め、中世社会において女性が、まして少女が軍事行動の先頭に立ち、大きな軍隊を勝利に導いた例は他になく、にわか...
ジャンヌ・ダルク――その名は誰もが知るが、百年うち続く英仏の争いを、神のお告げに依拠してみずから軍を率いて、大きな旗を持ち軍隊を従える馬上の少女は、神秘に満ちている。日本を含め、中世社会において女性が、まして少女が軍事行動の先頭に立ち、大きな軍隊を勝利に導いた例は他になく、にわかには信じがたい。 こうしたイメージから、長らくジャンヌは自分にとって、漠然と聖なる少女だった。彼女の神聖性は佐藤賢一『傭兵ピエール』などでも詳しいが、物語の結末とは異なり、ジャンヌは異端審問によって火刑に処されてしまう。本書を読み、物語ではない「その事実」を知って、わかりきっていたこととはいえ愕然とした。火刑の判決理由はいくつかあるが、ジャンヌが「女」であるにもかかわらず「男装」をしたことがそれに含まれる。今やファッションをリードするフランスも、中世はこうしたカトリックの厳しい戒律に抗えない社会だったことを知った。 一応宗教らしきものはあるものの、玉石混交の宗教を受け入れることをためらわない日本人にはとうてい理解し難い。結婚は神社でも教会でもよく、葬式は寺(仏教)、しかしクリスマスも大いに楽しむ我々は、当時のフランスにいたらあまねく斬首ものである。 かくして、一地方の百姓娘に生を享けた少女は、神のお告げを聞き、オルレアンを開放し、英雄と祀り上げられる。しかし戦況が好転したとたん、男装しカトリックを脅かす異端者として、理不尽な裁きの場に引き出されるのである。 男装した理由は、神のお告げにしたがって、自らの純潔を守るためだったという。女装したとたん、女性の貞操は危機にさらされる時代だったのだ。慰安婦がもとでもめている国々もあるように、戦時ともなれば、風紀は乱れ弱者たる女性は容易にその犠牲者となってしまうのかもしれない。『傭兵ピエール』でもそういった記述はあった。 だが神の声にしたがい、あえて戒律に反してまで男装し、おのが貞操を守り抜いてオルレアンを、そしてフランスを勝利に導いた「英雄」を、手のひらを返して異端扱いし、あまつさえ火刑に処して死に至らしめるカトリックの「神」は、私の目には大いなる矛盾を抱えた存在に見えてしまう。
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丸顔でがっちりした体格のジャンヌダルクが描かれる。 数あるキリスト教国のうち、なぜフランスが宣託により守られるべきものだったのか。ナショナリズムの萌芽を見ることができる。
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(1998.03.13読了)(1998.03.07購入) 愛国心と信仰 ☆関連図書(既読) 「犯罪と刑罰」ベッカリーア著・風早八十二訳、岩波文庫、1938.11.01
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