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ゴッホの手紙(下) 岩波文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 岩波書店/岩波書店 |
発売年月日 | 1992/10/01 |
JAN | 9784003355336 |
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商品レビュー
4.3
9件のお客様レビュー
ゴッホの手紙、下巻はゴーギャンとの共同生活が実現して、すぐに破綻して、耳切り事件があって、精神病院に入院して、自殺するまでの転がり落ちるような勢いがすごい。 ゴーギャンと仲違いしたのが耳切り事件の発端かと思っていたけど、その前から調子が悪いとか、病気になりそうという記述があり、発...
ゴッホの手紙、下巻はゴーギャンとの共同生活が実現して、すぐに破綻して、耳切り事件があって、精神病院に入院して、自殺するまでの転がり落ちるような勢いがすごい。 ゴーギャンと仲違いしたのが耳切り事件の発端かと思っていたけど、その前から調子が悪いとか、病気になりそうという記述があり、発作の前兆はあったようだ。短いながらも、ゴーギャンと一緒に美術館に行って作品について白熱した議論をしたり、モデルを見ないで描くことを勧められたり、ゴッホが夢見ていた共同生活は楽しそうで微笑ましい。 でも次の手紙から完全に別人のように意気消沈している。画家としての自身も喪失し、共同生活も諦めている。弟からの仕送りで額縁をたくさん買っていた頃とは打って変わって、文章も散らかりがちで力がない。ずっと奇声を発している患者やあるものを全て壊す狂人のような、結構な重症患者と一緒に病院に入院して、再度の発作が起こることをおそれて過ごしている。名画の写実をするなど絵を描き続けているが、なぜか画家になる夢が過去形のように語っている。この間も素晴らしい作品を生み出し続けているのが嘘のようだ。 最後の2通の手紙では、テオに手紙で色々書こうと思ったが、無駄だと思ってやめたと書いてある。亡くなったときにポケットに入っていた手紙は、ゴッホの抱えている混乱や失意が溢れているようで、読んでいてとても悲しい。 「そうだ、自分の仕事のために僕は、命を投げ出し、理性を半ば失ってしまいーそうだーでも僕の知る限り君は画商らしくないし、君は仲間だ、僕はそう思う、社会で実際に活動したのだ、だがいったいどうすればいい」(第六五二信)
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一言、胸を打たれました。 感想にまとめようとしても、書いた傍から、真実じぶんが感じた事を文章化できないと感じるので、やめておきます。 (遅読ゆえ)1か月半をかけて読み継いできた「ゴッホの手紙」の、その日付が1890年7月29日に迫り始めると、仕事も遊びも手がつかなくなり。 ...
一言、胸を打たれました。 感想にまとめようとしても、書いた傍から、真実じぶんが感じた事を文章化できないと感じるので、やめておきます。 (遅読ゆえ)1か月半をかけて読み継いできた「ゴッホの手紙」の、その日付が1890年7月29日に迫り始めると、仕事も遊びも手がつかなくなり。 最後の手紙の最後の一文には何と書かれているのか、読みたいような読みたくないような、そんな気持ちを胸に抱きながら開いた最終ページの言葉は、自分の読書史に残ります。
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ゴッホがゴーガンと暮らしてからは、“僕は今にも病気になりそうな気持がすることもあったが、ゴーガンが来たのですっかり気分が晴れて、うまくおさまる自信がついた。(p56)”、“ゴーガンは僕に想像で描く勇気を与えてくれる。たしかに想像で産み出したものは、いっそう神秘的な性格を帯びるもの...
ゴッホがゴーガンと暮らしてからは、“僕は今にも病気になりそうな気持がすることもあったが、ゴーガンが来たのですっかり気分が晴れて、うまくおさまる自信がついた。(p56)”、“ゴーガンは僕に想像で描く勇気を与えてくれる。たしかに想像で産み出したものは、いっそう神秘的な性格を帯びるものだ。(p68)”などと書いており、良い影響を受けているかのように見えました。 しかし、十二月二十三日の手紙には“ゴーガンはこのアルルの町にも、われわれが仕事をしている黄色の家にも、ことにこの僕に、いくらか失望しているようだ。(p80)”となっています。耳切り事件の日です。 事件をきっかけに二人の共同生活は破綻しますが、その後もゴッホは“ゴーガンと作品の交換を続けるのは僕にとって時には高くつくとしても楽しいことだ。(p104)”と書いており、ゴーガンへの変わらない思いが感じられました。 全体的に、ゴッホが“精神的にも肉体的にも健康でない状態にあった(p136)”ことを思い知らされる手紙が多いです。“君の友情がなかったら、たやすく自殺の道に追いやられたろうし、僕がどんな臆病者でもしまいにはそうするかもしれない(p146)”と自身で書いていた通り、ゴッホは最終的に自殺してしまいます。ゴッホの苦悩が伝わってくるようで、読んでいて苦しくなりました。
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