荷風随筆集(下) 岩波文庫

野口冨士男(著者)

• 販売会社／発売会社: 岩波書店/岩波書店
• 発売年月日: 1986/11/01
• JAN: 9784003104187

商品レビュー

2021/12/25

　この岩波文庫版荷風随筆集は上巻が東京という土地に関するものを収めていたが、下巻はもっと幅広い話題が集まっている。
　巻頭の「妾宅」（1912《明治45》年）はやはり荷風という作家主体のメインテーマの部分がよく出ている。
　他に自身の女性経験を記した「桑中喜語」（執筆年不明）、荷風が愛した江戸文芸を語る「浮世絵の鑑賞」（1913《大正2》年）、小説書きについて語る貴重な「小説作法」（1920《大正9》年）が特に面白かった。
　作品によっては古語になるのだが、まあ、読めないでもないレベル。後年、またところどころ読み返してみたい作品集だった。

2011/03/10

いかにも荷風らしさがあらわれていると言えるのではないか。
特に、Ⅳの「桑中喜語」などは、こんなこと書いていいの？と思わずにはいられないような一篇。
他にも、「妾宅」、「矢はずぐさ」などが、個人的にはお気に入り。
上巻とは比べものにならぬほどである。
これぞ永井荷風！