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私の中の日本軍(上) 文春文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 文藝春秋 |
発売年月日 | 1983/05/10 |
JAN | 9784167306014 |
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商品レビュー
4
10件のお客様レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
幹候としてフィリピンで終戦を迎えた著者が戦後数十年を経て綴った本著。たとえば南京大虐殺が実際にあり得たのかどうか、よく分からないまま放っておくことに何の疑念も抱かず無神経に無関心に生きている僕のような人に読んで貰いたい。なぜ戦争が悪いのかは分かる。なぜ戦争は起こるのかということは分からない人が多いのではないだろうか。 本著は”百人斬り競争”や”南京大虐殺”という言葉がよく出てくる。その言葉に対して自分がどう思うのか、なぜそう思うのか、それは自分の意思なのか、考えさせられる点が多い。それは、また戦争が起きるのか、起きないのか、なぜそう思うのかを考えることでもあると思う。 ”戦陣訓”にしても、当事者でもない僕が何の根拠があって偏見を抱けたのか。今は戦中と違うのか、同じなのか。それは昔というほど遠くない。
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上下二巻。この本は、先の戦争に関する「戦後神話」なるものに危機感を抱いた著者が、戦争体験者としての使命感から、自ら将校として直接体験し考察したことを、偽ることなく後世に伝えるために書かれたものである。 特に、昭和12年東京日日新聞の浅海特派員による「野田、向井両少尉による百人斬...
上下二巻。この本は、先の戦争に関する「戦後神話」なるものに危機感を抱いた著者が、戦争体験者としての使命感から、自ら将校として直接体験し考察したことを、偽ることなく後世に伝えるために書かれたものである。 特に、昭和12年東京日日新聞の浅海特派員による「野田、向井両少尉による百人斬り競争」の記事が「戦意高揚のための虚報」だったことを証明することがこの本の中心テーマである。 法螺を吹く戦場の兵士の心理状態や日本刀神話、様々な証言に基づく記事の矛盾などの客観的な考察からは、著者の真実(歴史的事実)に対する真摯な姿勢と、この虚報により戦犯として処刑された野田、向井両少尉に対する鎮魂の思いが伝わってくる。 そして、その思いは翻って、戦後自らの保身のために真実を封印した浅海特派員と、この虚報を根拠に日本軍国主義を批判し中国に贖罪の姿勢を見せる朝日新聞本多勝一氏を厳しく批判している。 戦意高揚記事という虚報で国民を欺いた新聞が、戦後はこの虚報を根拠に中国に懺悔を繰り返すという二重の過ちを繰り返しているというのである。 「われわれの世代には、戦争に従事したという罪責がある。しかし、もし自らの体験をできる限り正確に伝えないならば、それは釈明の余地なき罪責を重ねることになるであろう」という著者の言葉は重い。
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戦時中、フィリピンに派兵された著者の山本七平が、自身の戦争体験に基づいて、朝日新聞の記者・本多勝一の『中国の旅』(朝日文庫)で報告されている「南京百人斬り」の嘘を明らかにした本です。 戦争中、「戦意発揚記事」として発表され、国民を欺いたのと同じ「虚報」が、戦後になって日本帝国主...
戦時中、フィリピンに派兵された著者の山本七平が、自身の戦争体験に基づいて、朝日新聞の記者・本多勝一の『中国の旅』(朝日文庫)で報告されている「南京百人斬り」の嘘を明らかにした本です。 戦争中、「戦意発揚記事」として発表され、国民を欺いたのと同じ「虚報」が、戦後になって日本帝国主義の残虐性の証拠として、またしても国民を欺いていることに、戦中・戦後を通じて変わることのない、日本社会の病弊が浮き彫りにされています。 横井正一のような人が、戦後何十年間もたった一人で戦争を続けることができたのは、『戦陣訓』が骨の髄まで叩き込まれていたからだ、と説明されることがあります。これに対して著者は、ジャングルから出て降伏することがどれほど難しいかという、より形而下的な問題を指摘しています。こうしたこともなかなか戦争体験のない世代には分からないものになってしまっているので、興味深く読みました。
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