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アナーキスト人類学のための断章
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アナーキスト人類学のための断章

デヴィッドグレーバー(著者), 高祖岩三郎(訳者)

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アナーキスト人類学のための断章

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 以文社/以文社
発売年月日 2006/11/01
JAN 9784753102518

アナーキスト人類学のための断章

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商品レビュー

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2025/04/07

いまよりもっとマシな世界を希求するすべての人へ向けた魂のマニフェスト。人類学者である著者は、自身が経験したフィールド調査や、学徒としての学びを注ぎ込み、別の世界を思考する。すでに根付いている国家、資本主義、人種差別、男性中心主義といった構造・制度は新しい世界を構築するのに不可避の...

いまよりもっとマシな世界を希求するすべての人へ向けた魂のマニフェスト。人類学者である著者は、自身が経験したフィールド調査や、学徒としての学びを注ぎ込み、別の世界を思考する。すでに根付いている国家、資本主義、人種差別、男性中心主義といった構造・制度は新しい世界を構築するのに不可避のものではなく、それらが存在していない――誰かを使役すること無く、誰かをののしることもない、そんな人々の暮らしの可能性を。そのため、必然的にこの本の主題は、人々が自由に自分たちの生活を統治しうる世界とは、一体どのような社会理論が有効か、ということになる。 民族学を実践するとき、人は人々がすることを観察し、その行動の根底にある隠された象徴的、道徳的、実用的な論理を誘い出そうと試みる。つまり自らが意識していない、また別軸の習慣や行動の意味を理解しようとすること。デヴィッド・グレーバーが人類学的知見を用いて行うのは、そんな別軸の社会理論から得た、実現性のある代案の創出だ。 同時に著者は、人類学という学問自体が抱える問題について内省する。グレーバー曰く、この学科は、征服、植民地化、大量殺人などの恐るべき陰謀によって可能になったものであり、同じ事柄を抱えている諸学問に比べ、「自らの作業が被害者たちと個人的に知り合うことを含んでいるため、他の学問の推進者たちにはありえないようなかたちで悩む」といった特殊性を持っているという。 その結果として、己の有害性について思い悩む人類学者は、調査によって知が集積すればするほどに、それらを恥ずべきものとみなすようになる。 事はそれで終わりではない。人類学とは、多くの意味において、己の権能に怯えている学問なのだ。それは「人類」というものの総体を一般化しうる唯一の学問であるということと不可分ではない。人類の全体を考察の対象とし、同時にあらゆる異例と親しむことで、概念を相対化しようとするこの学問は、しかし仮に人間性なるものがあるとして、その対象があまりに幅広いゆえ、理論一般化には困難がつきまとう。 こういった、その学問自体が抱えるそもそもの問題について真剣に、誠実に向き合い、なお新しい世界を希求する著者の文章には熱と魂が乗っている。万人に向けて語られたそれは、温かく、気安く、どこか楽観的だ。それはつまり、グレーバーが世界と人間に対して何ひとつ諦めておらず、新しさ、不安定性、軋み、歪み、未知性、可能性を持つ私たちのことを信じ続けている証左なのかもしれない。きっと、握ったその手を放さないこの態度こそが、デヴィッド・グレーバーという人物が多くの人へ影響を与えた要因なのだろう。人々の幸福のために生涯闘い続けた男の。

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2024/08/07

この本を読むと、59歳というあまりに若すぎる著者の早逝が心から惜しまれる。 彼はなぜ人類学者になったのか。 この本の冒頭で、著者は言う。 グローバル・ジャスティス・ムーブメントに参加することによって初めて、人類学が人間の可能性の宝庫として意義があることを理解した、と。 そして終...

この本を読むと、59歳というあまりに若すぎる著者の早逝が心から惜しまれる。 彼はなぜ人類学者になったのか。 この本の冒頭で、著者は言う。 グローバル・ジャスティス・ムーブメントに参加することによって初めて、人類学が人間の可能性の宝庫として意義があることを理解した、と。 そして終章でこう言う。 人類学者たちは結局、現に存在する国家なき社会について何事かを知っている唯一の学者集団である。 そしてまた、 たとえばそれ(人類学)は人類というものの総体を一般化しうる唯一の学問なのだ、とも。 この書物の中には、骨の髄からアナキストであり、自由と自律を愛してやまない著者の、真にラディカルで、根源的な思考が展開され、私たちが絡めとられてきた常識をいくつも覆す知的な刺激に満ちている。 学問を、ひとびとの幸福のための実践的、倫理的言説の源であらしめようと終生闘い続けた男の、万人に向けられて語られた温かい語り口のマニフェスト。

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2024/02/26

 原著2004年刊。  人類学者デヴィッド・グレーバーは2020年に邦訳の出版された『ブルジッド・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(2018年)が日本でも有名なのかもしれない。そちらは私も未読である。  本書は、私がこれまであまりまともに接することのなかった「アナーキズム」に...

 原著2004年刊。  人類学者デヴィッド・グレーバーは2020年に邦訳の出版された『ブルジッド・ジョブ クソどうでもいい仕事の理論』(2018年)が日本でも有名なのかもしれない。そちらは私も未読である。  本書は、私がこれまであまりまともに接することのなかった「アナーキズム」について詳しく書かれていて興味深かった。  確かに、暴力を独占する形で屹立する「国家」権力から逃れるためには、「国家」という幻想の概念を解体し「法」もゆるやかなものに変革しなければどうしようもない。思うに、20世紀以降の我々は、「国家」という抑圧性に満ちた強迫観念に疎外されすぎているし、むしろそんな「領土閉鎖」を突破してしまったほうが、ほんとうに自由な生き方に踏め込めるだろうという気はする。  本書が示すように、確かに、人類学的思考は、巨大組織の上から下への暴力的支配からは逸脱するような文化を発見する喜びがある。が、しばしば平和的で「アナーキー」ば集団が未開社会に可能だとしたら、やはりそれは「少人数集団」だからであることは間違いない。  私の考えでは、だから、文明国の人口を100分の1か1000分の1か、あるいはもっと少なく激減させなければ、ゆるやかなアナーキー文化は到来するとは思えない。あまりにも無数に群れすぎて、規律やら仕掛けやらが増殖しすぎて、にっちもさっちも行かなくなっているのが現代の社会だろうが、ここから抜け道はあるのか?  本書はそんな根本的な問いをあらためて呼び起こしてくれるような、ヒントに溢れた書物だった。  

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