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刺青白書 創元推理文庫
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 東京創元社/東京創元社 |
発売年月日 | 2007/02/23 |
JAN | 9784488459048 |
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商品レビュー
3.6
18件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
柚木草平が嫌いということではないんだけど、樋口有介は、やっぱり青春真っただ中な主人公が事件を探っていく話の方がいい。 それは、最初に読んだ著者の本が『ぼくとぼくらの夏』と『風少女』だからだろう(どっちを先に読んだのかはおぼえていない)。 これは主人公が大学4年の女の子ということで、そういう意味でも樋口有介っぽくって、すごく好みの話。 というかー。 柚木草平って、このポジションの方がおさまりがいいと思うんだけど?w 読み始めて、最初に感じたのが、え? 樋口有介って、こんな文学的に情景描写する人だったっけ!?ということ(^^; たしかに、変に詩的なタイトルwとか、ムダにキザなへらず口とかw(いや。どっちも好きなんだけどさ)、書きたがる作家だとは思っていたけど。 でも、“細い地雨がフロントガラスをけぶらし、ワイパーの移動が隅田川の夜景を飴色に明滅させる……”みたいな描き方、記憶ないけどなーと、他の本を見てみたら、やっぱりないと。 え? これ、なんなの!?なんて思いながら読んでいたんだけど、特にはわからなかった。 ま、たんに他の柚木草平の話は、彼の語りで話が進むけど、これは三人称の文章だから、そういう風に書いたっていうことなのかな? ていうかー、樋口有介。こっちの描き方の方がよくない?(^^ゞ 話は主に、主人公の三浦鈴女のパート、柚木草平のパートと進んでいくんだけど、それぞれ初めにその情景が描かれることで、二人の感情や思いがより鮮明になってくるっていうのかな? この話のやりきれない結末もあって、描かれた風景が無機的なんだけど、だからこそ、それらは誰にも平等で、優しくて、哀しい。 そこが、すごくいい。 唯一難点を言えば、左近万作の物言いが柚木草平と妙にダブることw いや。決してキザなへらず口をたたくわけではないんだけど、ぶっきらぼうな物言いがなぁー。 もうちょっとバリエーションがあってもいいんじゃない?(爆) 読み終わって、違和感を覚えたのが『刺青白書』というタイトル。 だって、これって、刺青白書な話でないよね?w 『刺青白書』ってタイトルを見た時、すごく樋口有介あるある的なストーリーをイメージしたんだけど、でも、これはそういう週刊誌的なセンセーショナルさが事件になっている話では全然ない。 むしろ、事件の根本にあるのは、抑えきれない虚栄心の暴走(迷走?)みたいなものがきっかけになって起こっていく地味な話なのだ。 地味だし、また、意外なところに配置されていた犯人も、実はこの手の話の定番の配置だったりするwんだけど、ミステリー小説に、すごいトリックも、驚くようなどんでん返しも、これっぽっちも期待していない自分みたいな読者からすると、そこがよかったりするのだ。 ていうか、樋口有介のファンって、そういう読み方をする読者の方が多いような気がするんだけどな。 『刺青白書』というタイトルは、無理に煽ることで売ろうとする最近の新書のタイトル(or帯)みたいで、すごくイヤ(爆) 違和感といえば、もう一つ。 三浦鈴女の最初のパートで、彼女が神保町でカラスアゲハが飛んでいるのを見る場面があるんだけど。 神保町でアオスジアゲハが飛んでいるのよく見かけたけど、カラスアゲハは1回も見たことないんだよなぁ~(^^ゞ
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樋口氏の作風には、かなり強烈なクセがあります。 古いし、ベタだし、クサいし、不自然だし。 そしてぼくは、そんなクセが大好きなんです。 既に希少種とも思えるほど、ど真ん中のhard-boiledです。 決してmysteryではない、と思います。 その独特の雰囲気に酔うための作品。...
樋口氏の作風には、かなり強烈なクセがあります。 古いし、ベタだし、クサいし、不自然だし。 そしてぼくは、そんなクセが大好きなんです。 既に希少種とも思えるほど、ど真ん中のhard-boiledです。 決してmysteryではない、と思います。 その独特の雰囲気に酔うための作品。 それがつまり、hard-boiledというcategoryではないかと思います。 柚木草平seriesものという位置づけのようでいて、実は違うらしい。 あとがきで作者は、柚木はserviceであると述べています。 確かに、別に柚木である必要性はないような気もします。 けど、やっぱ良いんですよねぇ。柚木草平。 既に絶滅危惧種ってくらいの、典型的なhard-boiledっぷり。 思わず、読んでいるこちらの顔が赤らんでしまうような口説き文句とか。 そしてそれが、決してサムいそれではなく、決まってしまう感じとか。 もっともそれは、ぼくの感性がウブすぎるだけ、なのかもしれないですけれど。 そして、痩せっぽっちで独特の雰囲気をもつheroine、スズメちゃん。 この、不思議少女でありながら、不思議少女ではない独特のbalance。 断言しますが、正統派からは遠く離れてます。 けれど、スズメちゃんの可憐さだけは間違いない。 この魅力に気付けるかどうか。 それが、本作を楽しめるかにおいて、かなり重要です。 貫くのは、醜悪で目を背けたくなるような事件。 読んでいて、眉間に皺がぎゅうっと寄ってしまうような、凄惨な現場。 そんなgrotesqueさをも緩和してしまう、爽やかで瑞々しい青春の香り。 この見事なbalanceが、いつもと変わらない、樋口有介氏が紡ぐ物語です。 人と人との繋がりから目を背けず、きちんと丁寧に書き出した感じ。 だからこそ、きちんとしたrealityを持って、キャラが浮かび上がってくる。 読む人によっては、樋口氏の作風に耐えられない可能性はあります。 けれど、好きな人には堪えられない魅力を湛えているのも事実。 そしてぼくは、繰り返しますが、そんな樋口氏の作風が、大好きなのです。
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2016.10.22 読了 柚木草平シリーズです。 今回は 柚木の他に 女子大生のスズメちゃんという子も登場し、 謎を解いてゆきます。 ちょっとした どんでん返しもあって、 嫌いじゃないです。 読みやすかった。
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