栄光なき凱旋(上)

真保裕一【著】

• 販売会社／発売会社: 小学館/小学館
• 発売年月日: 2006/04/15
• JAN: 9784093797269

商品レビュー

2018/06/13

図書館員に薦められて読んだ本。戦記物は好きだけど日系人の視点というところがなかなか面白い。詳細→http://takeshi3017.chu.jp/file7/naiyou5607.html

2016/12/13

アメリカの日系二世の三人。

日本という国に一度住み、その閉塞感や抑圧された社会に嫌気がさし、アメリカに戻り日本国籍を捨てたジロー。

アメリカ人としてアメリカ社会に対等に渡り合おうとしアメリカの大学就学や銀行就職を希望する。一方未だ日本的な考えを捨てられずにいる一世との間で悩むヘンリー。

真珠湾攻撃のあったハワイに住み、ハオレである彼女と前に進もうとする。日系人が四割にも達するハワイを攻撃してきた日本と戦おうと決意するマット。

第一部真珠湾

真珠湾攻撃という唐突な戦線布告に三人それぞれの人生が揺さぶられていく。
当時のハワイ島には多くの日系人がいたにも関わらず、日本が攻撃をしたことに驚いた。
戦争と言うものが、日本人でもいられず、アメリカ人にもなれない日系人達を追い込んでいく。自国・敵国と言う簡単なものではなく、それぞれの国籍、国民としての意識、習慣に迷いながら、自身の進む道を決めていく。

第二部志願兵

ジローは陸軍の情報部隊に入り、ガダルカナルにて日本と戦う。日本語という武器を使い、捕虜の尋問や戦場での活躍をみせる。

ヘンリーは夜間外出禁止令に背き、裁判にかけられる。アメリカ人であること、なぜ銃を持って敵である日本と戦えないのかと訴えるも、効果なく。父母が収容されているキャンプに移される。

マットはFBIに連行された父を案じながらも、語学兵への誘いを断り、共に育った仲間たちと軍の訓練を受けるため島を出る。

それぞれが思いを抱えたまま、軍に志願していく。

この本の前に映画「パッチギ！」観ていて、在日韓国人・朝鮮人について少し知ることができた。
マイノリティに対するその国の対応は、どの国でも同じようなものなのだなと思った。

下巻、何とか戦争から生き残って、幸せをつかんで欲しい。

2014/07/14

第二次世界大戦時の日系アメリカ人の物語。
彼らが置かれた立場など、恥ずかしながら、
これまで想像だにしたことなかった。
主人公たちの心理が繊細に描かれていて、
新たな「気づき」をもたらされる作品だと
思う。