南の思想 地中海的思考への誘い 講談社選書メチエ365

フランコカッサーノ【著】, ファビオランベッリ【訳】

• 販売会社／発売会社: 講談社
• 発売年月日: 2006/07/12
• JAN: 9784062583657

商品レビュー

2022/11/18

世界の行きづまりを解きほぐす柔らかな思想。
南イタリアから贈る哲学的エセー。

遅さ、矛盾、自由。「南」には近代が忘れた富がある。力ではなく弱さを。所有の自閉のかわりにフロンティアの開放を。ブレーキの壊れた資本主義のかわりにゆったりとした「適度」を。「南＝貧困」のステレオタイプを打ち破る、近代合理主義への「南」＝地中海からの回答。

序章　「南」の思想のために
第1部　地中海
　第1章　ゆっくり歩む
ある金ガラ考える　海の無限性　南の世俗化
　第2章　陸と海
古代ギリシア、精神のなかの海　ヨーロッパとギリシャ　ハイデガー、ニーチェと海　ウリッセ（オデッセウス）の葛藤
第2部　ホモ・クーレンス（走り続ける人間）
　第3章　フロンティアを考える
不安　両義性　分離させる普遍性　根を喪うことと西洋　翻訳の普遍性
　第4章　走行の原理主義
文化の固定概念を超えて　文化喪失　競争や敗者を生み出す　走行の原理主義
第3部　思想の軋轢
　第5章　アルベール・カミュ、あるいは南の思想の必要性
　第6章　ピエルパオロ・パゾリーニ、あるいは人生の自己撞着