翡翠の家 創元推理文庫

ジャニータシェリダン【著】, 高橋まり子【訳】

• 販売会社／発売会社: 東京創元社/東京創元社
• 発売年月日: 2006/06/16
• JAN: 9784488149048

商品レビュー

2010/10/10

戦後まもない頃の作品のですが、翻訳が新しいので違和感がまるでなく、むしろこの時代の普通の女性たちの生活が垣間見れて新鮮です。シリーズ第一弾の本作はニューヨークが舞台ですが、二作目移行、主人公の故郷ハワイに舞台を移してからのほうが魅力がぐんと増す気がします。なので、一作目はどうも……と思ったかたも、二作目も是非読んでみてください。

2010/05/20

ヒロインは27歳のジャニス。
ホノルルの女子学生寮で事務を担当していたが、小説が本にして貰えることになり、ニューヨークに出てくる。
広告を出した所、リリー・ウーという中国系の娘からルームシェアしようという連絡が。
彼女は何と女子学生寮にいた学生だった。
きれいになったリリーに好感を抱くが、何か秘密がありそう。
かっての事業家の邸宅をアパートとしてシェアしている建物に集まって住んでいるのは芸術家達。
ハンガリーから亡命してきた画家、子供向けの絵本作家の女性、ラジオドラマの声優兼売れない歌手など。
リリーが何者かに殴られ、新しい管理人が地下で死体となって発見される。
その男は…？
きれいに変身しようと計画していたジャニスが気を取り直して、事件捜査のただ中に美容院へ行ったり、女同士のお喋りも楽しい。
戦後間もない時期の作品とは思えない感度の良さ。
当時の雰囲気を出そうとした最近の物かと思いました。
最近の作品ならもう少し描写が細かいかも？ってぐらい。
当時としては仕事して自立しようという女性はかなり生きが良くて頑張ってる感じだったんでしょうね。

2009/04/17

引っ越した先で起こった殺人事件を、知り合ったばかりのルームメイトのリリーと共に新人作家のジャニスが解決していく。

とにかく謎めいたリリーに対してジャニスが結構あっさり信頼感を持ってしまうあたりがなんだかな。
新人作家という設定も、ジャニスとリリーがハワイで関係があったというというエピソードもほとんど使われていないのが勿体無い。
リリーの行動の動機も日本人にとっては当たり前で、多分これを当時読んだアメリカ読者ほどの驚きはないと思う。そう思うと、なんだか残念だな。
ただ、キャラクター描写はそこそこ巧いと思う。
シリーズモノの1作目なので、次作への引きとしては十分なのかも。