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ソロモンの指環 動物行動学入門
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ソロモンの指環 動物行動学入門

コンラートローレンツ【著】, 日高敏隆【訳】

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ソロモンの指環 動物行動学入門

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房/早川書房
発売年月日 2006/06/24
JAN 9784152087386

ソロモンの指環

¥1,925

商品レビュー

4.1

22件のお客様レビュー

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2023/01/20

クジラの「淀ちゃん」が旅立ってしまった。 ペットを飼うなど動物が身近だったことは一度もなかった。しかしそんな自分でも、見知らぬ場所で衰弱死していった、あの孤独な背中を見て何も思わないはずがない。だから本書を読んでいる間も、ローレンツ博士が見守ってきた動物達と「淀ちゃん」を結びつけ...

クジラの「淀ちゃん」が旅立ってしまった。 ペットを飼うなど動物が身近だったことは一度もなかった。しかしそんな自分でも、見知らぬ場所で衰弱死していった、あの孤独な背中を見て何も思わないはずがない。だから本書を読んでいる間も、ローレンツ博士が見守ってきた動物達と「淀ちゃん」を結びつけずにはいられなかった。 「私はできるかぎりたくさんの人たちに、自然のもつ畏敬すべき驚異への、より深い理解をよびさますことを自分の任務だと考えている」 著者のローレンツ博士は「動物行動学(エソロジー)」という分野を開拓、1973年にはノーベル生理学・医学賞を受賞した。 本書は彼が自宅でほぼ放し飼いしていた動物達の生態観察記である。本能のまま自由に行動できるし、餌も貰える。観察目的とは言え、彼らにとってはまさにパラダイスな環境下であったと思う。 生態観察記と書いたが、ニュアンス的には「動物ふれあい日記」といった風。彼らとのふれあいをユーモアたっぷりに記録しており(当時のヒットソングを引き合いに出して魚の生殖行動を語ったり笑)、それでいて生態も正確に記されているから凄い。 あとはペットを飼いたい読者に宛てたアドバイスの章もあったりする笑(飼いたい衝動に駆られなかったものの、生き物を育てることの本来の意味を学べた。それだけでこの章の持つ力は大きい) 「ソロモンの指環」とはイスラエル王ソロモンが所持していた指環のことで、これを使って王は動物達と会話が出来たという。 それを踏まえてローレンツ博士は、「自分の方が王よりも一枚うわてだ」と語る。何故なら王は最も親しい動物とですら、指環がなければコミュニケーションを取れなかったから。 ソロモン王を超えた博士のおっしゃる通り、彼は動物達との共生を極めている。 コクマルガラスの「チョック」(鳴き声から著者が命名)とのエピソードがその最たる例であろう。(章のタイトルも「永遠にかわらぬ友」) 鳥なんて開け放てば最後、注視していてもどこかに飛んでいってしまうと思い込んでいたが、博士曰くそうでもないらしい。 ペットショップで運命の出会いを果たしてから独り立ちするまで、チョックはなかなか博士から離れようとしなかった。著者自身もその後コクマルガラス14羽を飼育した際には、観察を経て目印なしで見分けられるようになったという。(勿論それには相当な時間と労力を要したが) 動物愛好家の方はもちろん自分のように不慣れな人でも、彼が動物達にそそぐ愛情は間違いなく本物であることが見てとれる。 博士だったら「淀ちゃん」のために何かしただろうか。何なら指環があれば「淀ちゃん」のSOSにいち早く気づけただろうか。 どうしようもないことばかり考えてしまう… この喪失感が、博士の言う「自然が持つ畏敬すべき驚異への理解が呼び覚まされている」兆しだと良いのだけど。

Posted by ブクログ

2021/06/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

動物と話せるローレンツさんの動物愛あふれる本。 動物行動学の古典と聞いて身構えている人ほど読んでほしい。絵がかわいい。登場する鳥たちがかわいい。鳥派の必読図書。アクアリウムを作りたくなる。ハムスターを飼いたくなる。研究が進んだ今、ローレンツの考えには訂正されている部分もあるようだが、それでこの本の価値が落ちることはない。 動物の擬人化について考えさせられることもあった。いかにフィクションであるといっても、その動物の本来の姿を歪めないこと。確かに芸術だから(つまり事実ではない部分があるという前提の上で)できる擬人化もあるが、それがやはり事実とかけ離れていたり誤解を招くような描写だったりするのは、将来の動物好きを育てるのにはよくないだろう。ローレンツが「ニルスのふしぎな旅」の鳥の描写に惹かれたように、優れた観察者による魅力的で長生きする擬人化こそ、動植物に親しむ未来の科学者の導き手になるのだろう。

Posted by ブクログ

2019/09/22
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2019.9.22読了。 動物行動学の専門書のようなのを想像してたら、がっつり読み物だった。先生シリーズを彷彿させる内容だ。本書に出てくるアクアリウムなんてミニ地球そのものだろう。魚によっては世知辛い愛憎劇があるのは興味深い。魚にも他者への嫉妬の感情があるかのようだ。口で子を育てる宝石魚が迷子の我が子とご飯のミミズ同時に対峙した時の選択も私がその場で一緒に観察していたら学生達と拍手と歓声をあげただろう。メスの動物は男に魅かれオスは女に魅かれる現象に「異性誘引の法則」と名が付いていた事をはじめて知った。鳥では成り立たないらしいが。コクマルガラスに玉の輿があるとは!逆玉の輿は無いのだな。彼らの方が法を変える事が出来ないからある意味人よりずっと世知辛いのかもしれない。にしてもコクマルガラスの愛憎劇は人間顔負けだな。確かペンギンも凄かったはずだ。鳥は恋に積極的な分そういう点もドロッドロになるのだろうか?そして動物相手の研究者はやはり立派な変人になるのだなと思った。眠ったままガンをあやす声出すとかどんな職業病だよ。「友情の慣れ」!そう私が猫と築けて嬉しいのはこの関係なのだ。「唯物的な」餌欲しさじゃなく!でも撫でるのが上手い人と覚えられているとしたら似たようなものなのだろうか?犬のオオカミ系とジャッカル系の違いもそういう視点の違いで見た事がなかったから面白かった。なるほど日本犬はオオカミ系だからああいう性質を持つのか。不思議の国のアリスで三月ウサギが狂ってるみたいな話があったのは、事実3月頃のウサギは発情期で狂ってるように滑稽に見えるからなのか!服従の姿勢が相手の攻撃を抑制して攻撃したくても攻撃できなくする効果があるとは驚いた。これ犬と人間でもできるだろうか?探したら実験した事ある人いそうだなぁ。大元はなかなかに古い訳された本だから「あとがき」がいくつもあるのはちょっと新鮮でもあった。

Posted by ブクログ

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