数学的にありえない(上)

アダムファウアー【著】, 矢口誠【訳】

• 販売会社／発売会社: 文藝春秋/文藝春秋
• 発売年月日: 2006/08/26
• JAN: 9784163253107

商品レビュー

2023/12/15

物性研の所内者、柏地区共通事務センター職員の方のみ借りることができます。
東大OPACには登録されていません。

貸出：物性研図書室にある借用証へ記入してください
返却：物性研図書室へ返却してください

2022/10/29

最初、ケイン大丈夫か？と思ったが、確率の説明がちょこちょこ出てきたり、おもしろかった。
いろいろな話が少しずつ出てきて、下巻でうまくまとまるのかな？
下巻も楽しみ！

2021/03/14

物語が物凄い勢いで展開する下巻。

追われ続けるケインとナヴァ。そして合流したケインの兄・ジャスパーと、ケインの恩師ドク。
４人は居場所を突き止められ、ケインの機転で死んだように見せかけたナヴァ以外は捕らえられてしまう。
しかし、捕らえられる事すらケインは予知済みで、彼の考える最良の結果を出す為の「最も確率の高い賭け」であったのだ。
果たして、ケインの読み通りに事は進むのか。

と、いう展開なのだが、
主人公・ケインが「未来予知が出来、確率の高い道を選ぶことが出来る」という特殊能力を持っている時点で
勝負の行方は大方決している気もするがどうだろう。
それはさておき、下巻になっても「アクション超大作」的な描写は続く。
特にナヴァがケインを助ける為に研究所に侵入するところから、かなりのドキドキ感があって楽しめる。
（ナヴァは予知能力持っている訳じゃないし）
また、研究所に雇われた傭兵？のクロウも、非常に良い味を出している。
彼がただの傭兵ではなく血の通った人間である事が伺えるエピソードがあり、
「ナヴァもクロウも助かってほしい」などという無理な注文も付けたくなる。

一方でケインの能力についても一応の説明が付いている。
簡単に言うと彼は『ラプラスの魔』なのだそうな。わからない人は調べるべし。
ここで素人の言葉を使って説明しようとしても難しいので。
確率論と量子力学をミックスさせるっていうのは全然わからん人にはわからんだろうが、
そこを飛ばしても楽しめるエンタテイメント小説なのでまぁ良いのでは。

と、全体的にはしっかり楽しめる知的エンタテイメント小説であるのだが、
ラストで少し気になる部分があった。
あまりネタバレしてしまうのも良くないのでハッキリとは書かないが、
要するに非常に大きな存在の意思が働いていたよ、みたいなまとめなのである。
で、その大きな存在の意思っていうのはみんなの意識の集合体だし、最終目的はわからない、のだそうな。（超意訳）
…うーむ。そのまとめは如何なものだろうか。別に全ての事象が見えるようになった「ラプラスの魔」が
癲癇の発作と大いに関連があり、たまたまケイン及びジャスパーに発現してしまった。でも良かったのでは。
ただでさえ「予知能力」という、小説的に強力な（どうにでもなる）物を出してしまっているのだから、
SF的な要素はそこだけでも良かったのかなぁと。
まぁ、個人的な好みの問題であろうが。

面白いのは間違いない。確率論というものに興味があればより楽しく読めるかもしれない。3.5点。