酒育のススメ

魚柄仁之助【著】

• 販売会社／発売会社: 家の光協会/家の光協会
• 発売年月日: 2006/06/01
• JAN: 9784259546915

商品レビュー

2012/09/02

　もう長いこと著者のファンで、食生活エッセイを見つけるたび必ず読むようにしていたが、この本は不覚にも見落としていた。数年前の出版らしい。
　丸一冊日本酒のエッセイ。日本酒の基礎知識から、様々な風味の傾向、飲み方のTPO、購入の注意点、美味しいつまみ、二日酔い対策などを分かりやすく解説している。銘酒ガイド的な要素もあるが、欄外で最低限のデータを載せている程度だ。
　とにかく著者は文章に味がある。「文体」というよりはむしろ「語り口」に近い。まるで面と向かって話しているような砕けた文は読んでいて非常に心地よく、楽しい。
　個人的には酒の銘柄にあまりこだわらないが、それでも楽しく読めた。日本酒に詳しい人が読めばさらにに面白いはず。ひとつ難点があるとすれば読んでいる最中、無性に日本酒が飲みたくなる点ぐらいか。
　著者は、いわゆるグルメではない。むしろスタンスはその対極にある。得意とするのは「食生活エッセイ」であり、ありふれた食のエッセイとは一線を画す。代表作の『台所リストラ術』（農文協）は日々の食生活を「健康」と「激安」に導くバイブル的存在である。

2010/11/23

著者がお酒を好きなことがよく伝わってきた。僕も同じように好きだ。しかも指向もわりとにていてうれしくなった。が、その域を出ない本で、どこが「酒育のススメ」なのか理解できなかった。またしてもタイトルに偽りありの本で残念。「酔っ払い自慢」とでもしてくれたほうがずっといい。

2010/05/07

5月7日読了。大の日本酒党であるらしい魚柄氏による、日本酒の楽しみ方の紹介およびオススメ日本酒銘柄たち。一杯目ならビール、しょっぱいつまみなら焼酎、洋食ならワイン、食後にくつろぐならウィスキー･･･と日本酒から離れた生活を送りがちな現代の日本人だが、日本酒とは実に日本の風土に適した複雑玄妙な味わいがあるものであり、食前・食中・食後と使い方を誤らなければ他の酒にはない楽しみ方ができるもののようだ。話が嘆きとか愚痴にいきがちなのがこの人の欠点だが、人前で薀蓄をたれず一人楽しむのであれば害のないこと。私もひとつ日本酒党になってみようか。