ピカソ 剽窃の論理 ちくま学芸文庫

高階秀爾【著】

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房/筑摩書房
• 発売年月日: 1995/01/10
• JAN: 9784480081780

商品レビュー

2024/07/01

この著作が1959年の作品だとは！
全く古びていない。
高階秀爾の凄さ。
高階秀爾には、「名画を見る眼」(岩波新書)以来、絵画の手引きをしてもらった。
西洋絵画を見る必要最低限の知識をこの新書より得た者は多いだろう。

彼のバロックに関する講義は、直接聴講した。
メディチ家によるキリスト教倫理に抵触しない利殖法の論文に瞠目した。
日本近代絵画の面白さに目を開かせてくれた。

本書では、我々の持つピカソのステレオタイプを壊してくれて、爽快だ。
どんなピカソか？
孤独なピカソ。
　孤独という点ではピカソと相通ずるのはドラクロ
　ワだと言う。
構図に無頓着なピカソ。

高階秀爾の本は読まれ続けなければならない。

2010/04/08

スペインはアンダルシアに生まれて、今から37年前の1973年4月8日に、フランスで91歳で鬼籍に入った、人類史上もっとも偉大な画家・彫刻家。あらまっ、我らが高階秀爾がズバッときつい表現で≪剽窃＝盗作≫とまで言い切っていますが、ピカソの名誉のために、せめて≪引用≫くらいのやんわりとした言い回しが出来なかったものかしら、と私などは思ってしまいます。でもでも、実は高階秀爾センセには、これまでひとかたならぬ恩恵を被っていまして、その著書や共著編集書や訳書を含めると、多分70冊を越える本でご教授いただいていると思いますが、『ルネッサンスの光と闇・・芸術と精神風土』や『日本近代美術史論』や『西欧芸術の精神』など挙げればきりがありませんが、彼のすごいところは、何しろ単なる絵画や美術のことだけではなく、文化や文明についての幅広い知識、とりわけキリスト教や哲学・思想までに渡る奥深い根底的な教養に裏打ちされた見識から語られる著書がどんなにすばらしいものであるか、一冊でも手に取られた方は実感として解っていただけると思います。日本に高階秀爾ある限り、美術や絵画については世界最高の認識を得ることができるのですが、