風の墓碑銘 女刑事音道貴子

乃南アサ【著】

• 販売会社／発売会社: 新潮社/新潮社
• 発売年月日: 2006/08/30
• JAN: 9784103710073

商品レビュー

2024/11/13

音道貴子シリーズの短編を再読してきたが、やはり長編の方が一段と面白い。
下町の古民家解体の作業現場で、白骨死体が発見される。
所轄暑の貴子が相方の玉城とともに、現場に向かい身元の確認に奔走する。その家の所有者今川を突き止めるが、その今川老人は認知症で、徘徊中に殺されてしまう。
捜査本部が立ち上がり、貴子は何と滝沢とバディを組むことになる。しばらく見ないうちに滝沢は、皇帝ペンギンからアザラシになっていた（貴子によると）。
互いに苦手意識を持ち反発しながらも、刑事の資質を認め合う二人の関係が、このシリーズの読みどころでもあるだろう。
捜査の経過は、ときに貴子の視点で時には滝沢の視点で綴られる。無理心中と結論された白骨死体の事案と、今川老人の事件は関連するのか、真相究明に貴子・滝沢バディの地道な捜査が続く。
同時進行的に恋人晃一とのやりとりが記され、警察官の貴子ばかりでなく、プライベートも描かれ、人間としてのふくらみを持たせている。
このシリーズ、本作の後は刊行されていないが、著者にはもう続編を書く予定はないのだろうか。
刑事としてさらに年輪を重ねた、あるいは警察幹部となった（これはあり得ないか笑）音道貴子を見てみたい気がするが。

2023/11/09

音道シリーズ。東京の下町を舞台に人間臭さの漂う作品。地道に事件の真相にたどり着く展開が良かった。これがシリーズ最後になるのかな。残念。

2023/02/15

女刑事・音道貴子が活躍する推理小説。しかし、鮮やかなトリックや派手なアクションがあるわけではなく、女性蔑視のおっさんの刑事を相棒に地道な捜査を繰り返す。そこは退屈だが、しかし、その先に意外な事実が浮かび上がってくる。