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山のタンタラばあさん
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 小学館/小学館 |
発売年月日 | 2006/10/01 |
JAN | 9784097261018 |
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山のタンタラばあさん
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商品レビュー
4.6
5件のお客様レビュー
読み終えて、ああ、これは安房直子さんの物語だと感じられた、人と動植物たちに加えて自然までも仲間に加えたような、共に生きていこうという温かさに、こんな世界で暮らせたらいいなと、つい思ってしまう。 まあるい山のてっぺんにあるタラの木の下にある家に住む、タンタラばあさんが魔法使い...
読み終えて、ああ、これは安房直子さんの物語だと感じられた、人と動植物たちに加えて自然までも仲間に加えたような、共に生きていこうという温かさに、こんな世界で暮らせたらいいなと、つい思ってしまう。 まあるい山のてっぺんにあるタラの木の下にある家に住む、タンタラばあさんが魔法使いであることを、その辺に住む動物たちは、みんな知っている。そして、その魔法はとてもささやかなものでありながら、効果は絶大で、なおかつ楽しい気分にさせてくれる、そんな優しさが含まれているからこそ、みんな忘れることができずに彼女を慕っているのだろう。 それは彼女が、「東の風よ、ふっと吹け」と言うだけで、たちまち風が生まれ、それに「つぼみの花をゆりおこせ」と加えると、今度は風が彼女の声でそれを伝えることで、やがて訪れる春の到来には、まるで彼女が風と木々たちとの間で仲立ちをしているような、あるいは、春というバトンを次々と渡していくような、そんな彼らと同等の立場に人がいられることの喜びを感じられて、そこには安房さん自身の憧れもあったのかもしれない。 また、そうした憧れは、タンタラばあさんを頼って、よく動物たちが彼女の家を訪ねてくることや、それとは反対に、彼女が彼らの様子を気遣う姿からも分かるようであり、更に木々やシャボン玉が歌ったり口笛を吹くという表現は想像してみると、なんて素敵なんだろうと、それを共有したい気持ちにもさせられたことには、そんな安房さんの世界に、私も憧れる気持ちを垣間見るようであった。 そして、本書のもう一つの読み所として、タンタラばあさん自身の素敵な人生も共に描いており、普段の着物姿に飽きた彼女が、たまにはオシャレをしたっていいだろうと思い立って作ったのが、よもぎの葉っぱを縫い合わせたスカートと、レンゲの花を使った薄桃色のブラウスであり、それに着替えて空を飛んでいたら、よもぎの匂いにつられたカラスに突っつかれる事態になりながらも、その後の彼らの「お茶にしましょう」の言葉が気になって、ちゃっかり後をついていって一緒に御馳走になるのが、なんだかとても可愛らしい。 しかし、そうした服装でおやつの時間を過ごすという状況が、魔法使いの彼女にも女の子の頃があったことを思い出させて、しかもそのきっかけが現代に於ける悪い印象とは遠くかけ離れた、カラスであることにも切なくさせるものがあったが、そこで、かつての自分を木から見下ろしたタンタラばあさんの心象風景を描いた出久根育さんの絵には、あんな頃もあったねという悲しさよりも、女の子とタンタラばあさんとが今日という日まで、確かにずっと繋がっているんだという感慨を抱かせてくれたようで、それはタンタラばあさんの背の高さが、まるで小人のようであることからも、子どもに近い存在としてお互いが似通っていることを表しているとも思われたからなのだが、それでも安房さんの『女の子のつもりをやめて』という表現には、とても胸に迫るものがあった。 それから安房さんの物語には、やはりこの人の絵が最もしっくりくると、改めて思わせてくれたのが、出久根さんの叙情的なそれであり、冬の終わりに降る『ふうわりして、やさしい雪』も出久根さんが描けば、まさにその表現通りとなり、一面雪景色なのに冬の寒々しさは全く感じさせない、そんな淡い質感と柔らかい木々の影が、とても効果的に感じられた。 また、そうした出久根さんの安房さんの思いを汲み上げた絵には、タンタラばあさんや動物たちとの優しい関係性も描かれており、それは、赤い目と長い耳が何とも可愛らしいウサギと囲炉裏を囲む様子や、空を飛ぶタンタラばあさんに寄り添う二羽の小鳥と、更にそれを草むらから見上げる二匹の猫、それら全てが、さり気なく対等に描かれている点には、きっと出久根さんも安房さんの望む世界が見えているのだろうと、そんな感慨を私に抱かせてくれた。 更にそんな思いは、時間と共に変化していく自然の絵によく表れており、タンタラばあさんが何故夕方のシャボン玉が好きなのか、その理由も肯けるくらい、出久根さんの描く夕焼けの風景は三色の独特の層を成した、そのあまりに切ない郷愁感漂う美しさに心を奪われてしまい、反対に夜の風景の、漆黒に閉ざされた寂しさというよりは、藍色と青色をそれぞれに引き立たせた穏やかで優しさ漂う雰囲気が心地好く、それらには、まだ私の知らない自然の素晴らしさがあるようで、そんな現実と幻想の狭間に於ける、素敵な夢を見せてくれた出久根さんの絵は、まさに安房さんの心に描いていたものとも見事に調和することによって、このような物語を生み出した意義を更に高めさせてくれたのだと、私には思われたのである。
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一見かわいらしいお話のようですが悲しく感じた。タンタラばあさんは安房さん自身なのか。しゃぼん玉、三日月さままで届くといいな。
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【読了メモ】 (150607 14:25) 作 安房直子、絵 出久根育 『山のタンタラばあさん』/小学館/2006 Oct 1st/安房直子さんが山室静氏に師事していたことを本書奥付にて知る/着物に囲炉裏に草餅。予想に反してばあさんは和の人でした。カラスのエピソードに出てきたばあ...
【読了メモ】 (150607 14:25) 作 安房直子、絵 出久根育 『山のタンタラばあさん』/小学館/2006 Oct 1st/安房直子さんが山室静氏に師事していたことを本書奥付にて知る/着物に囲炉裏に草餅。予想に反してばあさんは和の人でした。カラスのエピソードに出てきたばあさんの思い出の風景が、私にも懐かしく感じられます。
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