新幹線安全神話はこうしてつくられた

齋藤雅男【著】

• 販売会社／発売会社: 日刊工業新聞社/日刊工業新聞社
• 発売年月日: 2006/09/25
• JAN: 9784526057281

商品レビュー

2018/01/14

1964年10月1日、東京オリンピック直前に世界最初の高速鉄道として開業した「新幹線」のその営業開始直度における多難な時代を指揮し、今日の安全な世界に誇る新幹線に育てた立役者の本。技術の人ではあるが、直接執筆されているのが良い。
営業開始から数年というのは、相次ぐトラブルに追われて関係者はほとんど寝ていなかったのじゃないかと推察する。そのくらいトラブルが多かった。雨や雪による気象影響や設計、人の運営管理における問題まで噴出した。トイレ吹き上げ事件を現地現物で雨合羽を着て直接体験されて確認されるシーンは、著者に申し訳ないが少し笑ってしまった。今日の快適で安全な新幹線の裏の関係者の尽力の物語。

2012/01/05

タイトルからして，新幹線対して否定的なことが書かれているのだろうという期待で買った．
実際はそんなことないが，非常に楽しく読めた．

新幹線開業前後5年の出来事が事細かく書かれている．特に，事故（開業当時は事故の連続だったらしい）に対するハード（設備）とソフト（人の教育）がしっかりと描かれている．
そして，それは今でも受け継がれているものがある．

終盤では新幹線の安定期と昭和45年の海外戦略等が書かれている．

個人的に，あぁ～やっぱりかーと思ったのは，東京駅で東北新幹線と東海道新幹線の乗り入れ計画があったこと．JRになってその計画が無くなったこと．

やや表現が難しい文章もあるので，結構集中力使います．

2011/08/10

新幹線の失敗がたくさん書かれています。
「安全神話はこうしてくつられた」
のではなく、安全神話の影で，どういう努力があったかの記述になっており、とても参考になります。

将来に対する安全の不安は必ずしも解消していないように感じました。
例えば，新幹線公害訴訟があった名古屋の交差点では、
現在高速道路が新幹線の上を跨ごうとしています。
鉄橋の上をかなり無理して上をまたいでいます。
下に地下鉄があるので、地下に空間がないのかもしれません。

高速道路と新幹線の交差でどう安全を確保すればよいかの指針もあるとうれしいかもしれません。