ケーススタディ CFOの戦略会計 会計実践力が経営を強くする

落合稔(著者)

• 販売会社／発売会社: 中央経済社/中央経済社
• 発売年月日: 2004/06/15
• JAN: 9784502245206

商品レビュー

2011/07/29

「ケーススタディ CFOの戦略会計―会計実践力が経営を強くする」読了。

冒頭に記載のあるとおり「CFOやマネジメントを目指す方」、「会計分野の専門家から会計の専門知識のないビジネスパーソンまで」が対象というだけあって、ケーススタディから会計を知識としてではなく、戦略的な道具として使うための思考法的な入門書という感じ。

以前、私自身が某会社で社内勉強会を開催したことがあり、その際に「まとめのテスト」として開催したのと同種の「BS、PLから企業名を特定する」というケーススタディがあったり、社長方針と部門予算（目標）合計との不一致（つまり、トップダウンとボトムアップでの思考の違い）というゲーススタディがあったり、で普段から自分がやっていることが「自分だけの苦労ではない」と感じられるだけでも、ビジネスパーソンには心の支えになるのではないだろうか（苦笑）。

代表的なケーススタディではあるが、「日産リバイバルプラン」とその前後に戦略的に配置された会計で表現されている各種施策の紹介は、本書だけではなく、他のどの資料で見ても、大胆かつ適時・適切に実施されていることに改めて感心する。経営トップが戦略的な思考のもとに、その思考を貫いて適時・適切に実践する。当然のことといえば当然のことなのだが、それには多大なる困難を乗り越えなければならず、当然のことを当然のようにやりきる難しさを再確認できる。

個人的には、「第6章　決算は経営責任の表明である　３　コンプライアンスと経営判断」の記述がとても興味深かった。自分自身の思考回路をうまく説明しきれない私にとっては、「あ、こう表現すればよいんだ」という気付きでした。これだけでも読んだ価値あり。

蛇足だが、経理職種の採用活動で「将来的に目指す姿は？」という回答に「CFO」と回答される機会が多い。その回答に「CFOって具体的にはどんな方ですか？」や「じゃ、CFOを目指すにあたり、●●さんの中で、現状充足している要件・資質と不足している要件・資質をそれぞれあげてください。」という質問をすると、かなりの確度で意味不明な回答が返ってくる。「CFOをやっている人間の思考回路」に興味がある方も本書の対象でよいのかもしれない。CFOに対峙する営業担当者とか、税理士とか。

2010/05/27

今更ですが・・楽しく読ませていただきました。CFOの目を通して、企業をみることが出来る「ドラえもんの会計メガネ」を手に入れた感じがしました。最後の、暖簾は無形資産論と被っており、企業価値の算出に一役買っております。当然、必読書です