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夜の長い叫び
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夜の長い叫び

森瑶子【著】

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夜の長い叫び

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 集英社/
発売年月日 1989/04/25
JAN 9784087726947

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2017/09/28

1969年新潮社世界文学全集29で該当するものがみつからなかつたので、こちらに。 人間である以上負はねばならない両価性といふ本質を戦ふ中で描き出せるのは、やはりこの男よりほかに知らない。 戦争の本質、革命の本質、そこにつき纏ふのは人間といふ条件以外の何ものでもない。生産手段が革命...

1969年新潮社世界文学全集29で該当するものがみつからなかつたので、こちらに。 人間である以上負はねばならない両価性といふ本質を戦ふ中で描き出せるのは、やはりこの男よりほかに知らない。 戦争の本質、革命の本質、そこにつき纏ふのは人間といふ条件以外の何ものでもない。生産手段が革命に影響を与へるのは確かであるが、実際に戦ふのは、武器をもち、立ち上がる人間以外の何ものでもない。彼は誰よりもそれを知つてゐた。思想云々ではなく、生きて行動する中に彼の精神が宿つてゐるのである。 革命をしようとすればするほど、革命する以前の体制と同じことを強ひてしまふ。圧制を拒んで立ち上がつたはずの人間が、独占と恐怖政治を敷く。労働者の救済を望んで武器を手にしたはずが、その労働者に発砲する。革命はいつでも、テロリズムの裏返しなのだ。いくら叫んでみたつて、殺されるくらいなら武器を棄ててしまひたいのだ。 不穏な風の吹き荒ぶ中国の中にあつて、展開される群像劇の登場人物たちは、立場は違へど、それぞれがさうした真実へ辿り着ひてしまふ。陳は爆弾を背負つて死んでゐつた。清はただ毒を呑んだ。カトフは自ら燒かれてゐつた。エンメルリックは生きのびることを選んだ。ジゾール翁は残され、メイは歩き出すことを選んだ。フェラルは満たされぬ心を抱へて利益を得た。クラピック男爵は先のみえぬ旅へと出た。 人間が孤独の迎へる結末はかくも孤独で、わかりあふことなどできぬほど、断絶してゐるかのやうに見えてしまふ。それでも、この物語は決して散逸することはない。物語はさうしたひとびとを抱へて進んで行く。それは、さうしたひとびとの死や結末といふ変化が、新しい可能性に託してゐるからだ。苦しいと感じる人間が存在する限り、虐げられることに屈辱を覚え、立ち上がる人間が存在する限り、あるひは、虐げやうと思ふ人間がゐる限り、利益を独占したいと望む人間がゐる限り、繰り返されることなのだ。 マルローはさういふ意味でニヒリスティックだ。人間のすることなど、大したことはなく、実にとるにたらないつまらないものだ。たとへそれがどんなに大義や正義をかざさうとしてもだ。さうしたものに意味などない。きつとはつきりさう言ふだらう。 人間はどこまでいつてもひとりで生まれ、ひとりで死んでいくより他ない。けれど、さうした中にあつて、最後までその生を全うしたり、逃れられない人間のさうした力弱さを引き受けてなほ、歩き続けることが人間にはできるのだ。あへて自ら命を絶つたり、あへてひとを殺すことが人間にはできてしまふのだ。それこそが、彼の希望であり、繰り返される無限の変化の中で、彼をこの世に繋ぎとめたものだと思ふ。さういふ意味で、彼はニヒリスティックでありながら、実におプティミスティックなのである。自殺に憑かれた家系でありながら、自殺しなかつたのは、彼の信じた人間の条件、彼の力そのものだと感じてゐる。

Posted by ブクログ

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