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物いふ小箱
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 筑摩書房/ |
| 発売年月日 | 1988/11/20 |
| JAN | 9784480812643 |
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物いふ小箱
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2020.12.5市立図書館 南伸坊「李白の月」からの芋づる式読書。 著者があちこちで読んだり聞いたりした話のうち小泉八雲に聴かせたいと思うようなあわい怪談話、古書から取材した時代物の小品、それに中国の古今の説話を忘れぬように書き留めたという小品集。著者の森銑三(もりせんぞう)は...
2020.12.5市立図書館 南伸坊「李白の月」からの芋づる式読書。 著者があちこちで読んだり聞いたりした話のうち小泉八雲に聴かせたいと思うようなあわい怪談話、古書から取材した時代物の小品、それに中国の古今の説話を忘れぬように書き留めたという小品集。著者の森銑三(もりせんぞう)は江戸学の始祖にして、杉浦日向子女史の心の師匠だったとのこと(あれこれ合点がいく)。 時代物のうち「唐崎の松」「気の抜けた話」がおもしろかった。中国のものはスケールが違うのと、落ちがありそうでないのがおもしろい。 (書影が出ないのが残念。北斎の絵をあしらった吉岡実の装幀が30年前の「the筑摩書房」という感じですごく好きなのに…)
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森銑三氏による、日本と中国における怪異文学の短編集。ただの怪異文学でなく、ひとの心の切なさ、美しさが垣間見えて珠玉の一冊。 「お話の面白さ」だけでなく、言葉の美しさも味わって読むとなお一層味わい深い。わたしが読んだのは旧仮名遣いの筑摩書房版だが、講談社学芸文庫版は題名を「新...
森銑三氏による、日本と中国における怪異文学の短編集。ただの怪異文学でなく、ひとの心の切なさ、美しさが垣間見えて珠玉の一冊。 「お話の面白さ」だけでなく、言葉の美しさも味わって読むとなお一層味わい深い。わたしが読んだのは旧仮名遣いの筑摩書房版だが、講談社学芸文庫版は題名を「新編物いう小箱」としているので、あるいは新仮名遣いかもしれない。旧仮名遣いと言ってもまったく難しいことはないので、できれば筑摩書房版(旧仮名遣い)で読んで頂きたい。 現代文学や漫画に描かれる妖怪のたぐいは、ひとの住まいや命を奪ったり、妖怪同士で覇権争いをしたりと実に野心的である。ところが本作に画かれる怪異なるものたちは、ひとの暮らしの傍に寄り添うように住まい、暮らしの場をともにする。 まあ、ときにひとが迷惑を被ることもあるのだろうが、ひとが怪異なるものたちに迷惑をかけることの方が多いように思われる。 他にも、いわゆる怪奇現象といわれることに対しても、それをさらりと受け止め、真実かどうか実証しようなどという無粋なことはしない。現代なら、血眼になって証拠がどうの、本性を暴けだの、という話になるだろう。さて、どちらが文明的かといわれれば答えは簡単だが、どちらが文化的かといわれれば悩むところかもしれない。 この、ひとと怪異なものたちとが暮らしの場を共にすることはほんの数十年前まで見られたことである。「花祭り」(早川孝太郎著)に、舞を踊っていると山から天狗が下りてくるので、追い返すために鉄砲を打つ習慣があったとある。村の老人達にはそうした怪異なものを実際に見聞きしたと証言する者がいたという。 彼ら怪異なるものたちは、いったいどこへ行ってしまったのだろう。ひとがひしめき合うように暮らす今の社会に、彼らがのんびりと住まうゆとりはもうなくなってしまっているのだろうか。だからこそ野心家の妖怪たちが生き残っているのだろうか。彼らもまた、殺伐とした現代社会を生き抜くサバイバーなのかもしれない。 本作所収の話はどれもすばらしいのだが、「仕舞扇」が殊に切なく美しい。だが読み手ひとりひとりそれぞれに心に響く作品があろう。ひとりでも多くのひとが読んでほしい、そんな気分にさせる一冊である。
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