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ドキュメント 海軍技術研究所 エレクトロニクス王国の先駆者たち
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 日本経済新聞社/ |
発売年月日 | 1987/06/25 |
JAN | 9784532094454 |
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商品レビュー
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1987年刊。戦前戦中の日本軍のレーダー開発を横軸に、伊藤庸二造兵大尉を縦軸に、日本軍の技術的マネージメント能力の稚拙さを白日の下にさらす。後手後手に回る準備、軍人の無謬性を盲信する悪癖、軍人内でも異端の発想を許容せず、他国によって覆滅されない限り前例を踏襲する官僚主義など、構図は分りやすい(個人的には新奇ではない)。ある意味、戦艦大和・航空機開発等の著作のある前間孝則氏の著書と同趣旨だが、レーダー開発が主題、つまり戦後のテレビ等の隆盛に繋がったという具体的な技術内容の特異性が本書の新奇なところか。 「エレクトロニクスが戦いを制す マリアナ・サイパン(ドキュメント太平洋戦争)」、文庫本は「太平洋戦争日本の敗因(3)電子兵器「カミカゼ」を制す」の良い補完・補充になった。ひょっとすると、彼の書の元ネタかも知れない。
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海軍を中心とした、日本の技術開発の現場を書いた本。この本のメインテーマは、恐らく、日本の組織体制と技術開発の関係だろう。随所で良く聞くように、日本の硬直化したセクショナリズムや設計思想が、技術面での敗北を招いた、とでも言ったところか。。 このテーマに関する引用としては、 p.228 「連合国が先端技術を持ち寄り協力して兵器作りにあたっている[…]。これに対し、日本の陸海軍はいつも目先のことにこだわり、方針も猫の目のように変わった。そのうえ、両者はつねに縄張り意識を先行させ醜い争いを展開していた。」 p.263 「戦前戦中を通じて、日本では技術者と言えば、それはハードウエアのエキスパートであることを意味していた。また、研究者も、デバイス(装置、部品)の開発者が多く、さまざまなデバイス、技術を組み合わせて実地への応用を考える、ソフトウエアを含めたシステム研究というものはほとんど無視されてきた。これが、先端兵器をつくるうえで、大きな障害になってきた」 をあげておく。 そんなメインテーマは置いておいて、個人的に気になった部分を抜粋する。 p.136 「伊藤が原子爆弾の研究というとてつもないテーマに手を染めていた」 p.166 「貝軍部内から批判の多かった原爆研究」 p.198 「呉海軍工廠は、艦の建造にかかわるあらゆる設備を持った日本最大の軍需工場である。」 p.241 「ソニー創業に重要な役割を果たした人々も、分隊、配属先は違うが、同じ海兵団の釜の飯を食った仲間である。」 pp.249-51 「米国は対日最終作戦(オリンピック作戦)の検討を終え、本格的な日本本土攻撃の準備を急いでいた。その幕開けは七月二十四日、トルーマン大統領が下した原爆投下命令であった。[…]米機動部隊は二十四日未明、豊後水道沖に姿を現し、艦載機を発進させた。ねらいは日本海軍最大の拠点呉軍港である。当時、呉には三月十九日の艦載機の空襲で損傷を受けた航空戦艦「伊勢」「日向」、戦艦「榛名」、空母「天城」「龍鳳」、重巡「利根」「青葉」、軽巡「大淀」などが、湾内の島陰に転錨していた。[…]まず、六月二十二日、百余機のB29爆撃機が工廠を襲った。そして一千発もの一トン爆弾を投下した。このため自慢の設備も造船部を除いた砲熕、製鋼、電気、水雷などの造幣関係の工場が破壊され、潰滅状態に陥った。[…]そこへ二度目の機動部隊来襲である。[…]次いで四日後の二十八日、米機動部隊は、再び呉を襲った。[…]八月六日の朝、呉市北西上空に不気味なきのこ雲がモクモクと立ちのぼった。」 pp.258-9 「マサチューセッツ工科大学総長K・T・コンプトン博士を団長とする科学情報調査団の一行が出し抜けにやってきた。そして、地技研の研究組織、電波兵器技術の現状と研究成果の詳細な報告と資料の提出を求められた。九月十七日のことであった。[…]一連の調査のなかで、米側がとくに関心を寄せた問題は六点ほどあった。 (一)科学情報調査団グリック博士、ウオーターマン博士のマグネトロンについての事情聴取(日本側、渡辺技師、桂井、森技術少佐説明) (二)ペリー少佐の電波伝達資料調査(名和中将、新川技師、蓑妻大尉) (三)ホーラー大差よりウルツブルグレーダーの入手経緯、ドイツの資料入手方法についての事情聴取(名和中将、高柳技師、新川技師) (四)ピッカリング博士より単一導波管についての事情聴取(名和中将、森少佐) (五)海軍調査団クーリー少佐、島田実験所の装置について事情聴取(渡辺技師) (六)通信局長、エーキン陸軍少将より陸海軍の技術協力状況、部外者研究者の利用法、復員技術官の就職状況事情聴取(名和中将)」 p.279 「電子(エレクトロニクス)技術をめぐる環境も大分変わってきた。二十一年六月のテレビ研究解禁に続いて、パルス変調方式多重通信の研究規制もしだいに緩和のきざしが見えてきた。その背景には、コンプトン調査団のGHQに対する強い働きかけがあったからだが、実際は日本の電波関連技術の水準が低かったことに安堵したためと言われている。」
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