ラファエル 魔法の歌3 ハヤカワ文庫FT

R.A.マカヴォイ【著】, 井辻朱美【訳】

• 販売会社／発売会社: 早川書房/
• 発売年月日: 1987/04/30
• JAN: 9784150200978

商品レビュー

2012/11/06

【ハヤカワFT97】魔法の歌三部作、最終巻。
人に干渉することで徐々に力を失った大天使ラファエルは、兄ルシファーの罠にはまり人の身に堕とされ、奴隷として売られることになる。
奴隷となった彼は、人の体の性がわからず白痴として扱われるが、食べること、排泄すること、人と接することで徐々にそれを学んでゆく。
肉体を纏うと同時に神の声を聞くことができなくなった彼は、最初主なる父との絆が断ち切られたことを嘆くが、音楽やこの世に満ちる様々な音の中にその存在を感じることで信頼を取り戻す。
やがてラファエルを救おうと旅に出たサーラとガスパールとも合流し、ルシファーとの決戦を迎えたラファエルが得たものはジュウラとの間に芽生えた愛だった。

三部作通して人の心や理がわからなかったラファエルが人の身に堕とされることによって愛や苦を知ることになる物語。
肉を纏うことで起きた心の変化に戸惑いながらも、人に対して憎しみを感じないラファエルの純粋さは少しも汚れない。
途中、前巻で死者となったダミアーノが登場し、それまで霊的存在だったラファエルとの立場が逆転するシーンがあるのが象徴的に感じられた。
また、「黒龍とお茶を」の主人公と思しき黒龍も登場するなど、既読の読者がニヤリとするような仕掛けもあり、楽しかった。
ただ、「ダミアーノ」が暗い入り口だったとすると、予測できない場所に出口があって明るい場所に突然放り出されたような何とも言えない気分になった。

2010/05/17

人の子ダミアーノとかかわったために、天使の力が弱まったラファエル。兄ルシフェルの罠にはまり、天使の翼を失い人間界に落とされます。ラファエルにとって初めての人間の肉体の感覚は、精神を乱すものでしかありません。神の恩寵を失ったと絶望するラファエル。しかし、愛する女性ができたとき、そうではないことに気づきます。ふたたびルシフェルと対決し、天使の姿を取りもどすラファエル。愛する女性をハッピーエンドです。