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追跡者「犬鷲」(下) 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション
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追跡者「犬鷲」(下) 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション

ジョゼフヘイウッド【著】, 山本光伸【訳】

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追跡者「犬鷲」(下) 二見文庫ザ・ミステリ・コレクション

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 二見書房/二見書房
発売年月日 1987/12/25
JAN 9784576871578

追跡者「犬鷲」(下)

¥385

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2020/08/12

1945年5月2日、ベルリン陥落。その2日前にアドルフ・ヒトラーは自殺した。1987年発表の本作は、ナチス・ドイツ総統の死は偽装であり、逃亡を謀っていたという前提に立つ。事前から綿密な計画を練っていたヒトラーは、妻となったエヴァと己の替え玉となる男の最期を見届けた後、地下壕内トン...

1945年5月2日、ベルリン陥落。その2日前にアドルフ・ヒトラーは自殺した。1987年発表の本作は、ナチス・ドイツ総統の死は偽装であり、逃亡を謀っていたという前提に立つ。事前から綿密な計画を練っていたヒトラーは、妻となったエヴァと己の替え玉となる男の最期を見届けた後、地下壕内トンネルへと向かう。その間、ゲッベルスら側近の誰一人として、国家元首の死を疑わなかった。この偽装工作を知る者は、ドイツ国内ではヒトラーを除いて二人、特命を帯びたSS大佐ブルムと副官のみ。国外では、この惨めな独裁者に負い目がある南欧の一国家が、迎え入れるための準備を整えていた。ブルムらと合流したヒトラーは容姿を変え、我が物顔で闊歩するソ連軍を傍目に、瓦礫の山と化したベルリンから脱出する。一方、ヒトラーへの復讐の念に取り憑かれたスターリンは、特殊任務の精鋭数人をベルリンへ派遣、生け捕りにしてクレムリンに連行することを厳命した。チームを率いるのは暗号名<ベルクート>を持つペトロフ。酷薄な男だが、部下からの信頼は厚い。ペトロフは徹底した調査をもとにヒトラー自殺の偽装を見破り、凄まじい執念で探索し、追跡する。〝狼〟を仕留める〝犬鷲〟。失敗すれば、標的と同様の狂人スターリンに破滅させられることは間違いなかった。 翻訳文庫本上下巻700ページを超える作品だが、プロットは弛緩気味で緊張感に欠ける。主要人物は非情な面ばかりが際立ち、個々の造形も深いとはいえない。スターリンは類型的パラノイアで、肝心のヒトラーに至っては単なる呆け老人に等しい。ソ連の追跡チームの面々は、工作活動に長けたプロという設定だが、個性に乏しく区別がつかない。サブストーリー的に、OSSの米国情報員が側面から事態を探り、何かあると匂わせるのだが、結局は大した活躍もなく退場する。登場人物は多いが単なる賑やかしに過ぎず、テンポを阻害し、マンハントのサスペンスを弱めている。 とにかく、「ヒトラーは生きていた」という〝ありふれた〟アイデアを膨らませ、読み手を驚かす要素に欠けている。果たしてヒトラーの逃亡劇にどう決着を付けるのか、という一点のみで興味を繋ぎつつ読み進めたが、スターリンの私怨を晴らすだけの結末には失望し、虚しささえ覚えた。 歴史の大きな転換期を背景にしながら、登場する軍人らが誰一人として、戦争がもたらした惨禍、その後に続く狂気の様相に対する葛藤がない。秀れたスパイ/スリラー小説は、歴史的事象を捉える作家の視点/スタンスが作品の中に垣間見えるものだ。残念ながら、本作は読み終えて何も心に残らない。 余談だが、ヒトラーの自死については長らく疑念が持たれていたが、どうやら史実通りの状況で間違いないようだ。フランスで製作されたドキュメンタリー番組「ヒトラー最期の謎」(2017年制作)で、ロシアが保管している頭蓋骨の断片と歯を〝初めて〟検証。米国保管のヒトラーの頭部レントゲン写真と比較し、特に義歯の形状が完全に一致したと結論付けている。さらに歯石を精査し、ベジタリアンであることも証明していた。 時に〝真相〟とは、意外性のない事実をもたらす。であればこそ、フィクションは真相を超える創造力とリアリティが重要になるのだが。

Posted by ブクログ

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