杉浦日向子全集 百日紅上巻(3) 百日紅 杉浦日向子全集

杉浦日向子(著者)

• 販売会社／発売会社: 筑摩書房
• 発売年月日: 1995/10/01
• JAN: 9784480701831

商品レビュー

2022/03/15

国芳ファミリーの猥雑な雰囲気に触発されて再読。あー貧しくても火事があっても電気もスマホもなくても逞ましい。ズボラな江戸庶民、やりたいわあ。

2013/04/07

本当に本当に、丁寧に描かれた美しい物語だと思った。

読んだ人なら、えっというかもしれない。
美しい？そう？結構ちゃかちゃかした元気な、
躍動感ある作品だけど美しい、なのかな？と。

それでもあたしはいう。
この物語は本当に本当に、美しい話であったと。

まず表紙の絵が1つ1つ、丁寧に描いてある。
よく見るとそれからすべて、実際の絵師の画風を模写したものだとわかる。
それだけでこの作品にどれだけ、作者が心を込めたかがわかろうというもの。

おっと肝心の内容は？

これは葛飾北斎とその娘、居候の3人を中心に描かれた物語。
絵師としての北斎というよりは読み切り形式の
ちょっとした事件簿のような体なので、
とても読みやすいし飽きない。
しかも当時の絵師たち同士の交遊や作品なども
ちょこちょこ出てくるので、この時代の絵師たちに興味のある輩にもお勧め。

それにしても杉浦日向子という女性の、
時代考証の素晴らしさはもとより、
絵の構成力と言ったらなんだろう？

地の人物の描き分けや表現が突出しているとは思えないのに、
絵師たちの描く作風の描き分けと芸風の違いまでを、
きちっと描き分けているのはなんなんだろう？

いや、この作品は本当に白眉そのものだ。

カノジョがこの作品に費やしたであろう想い、時間、ガッツ、根性、
それらがすべて立ち上る、いやはや、この作品はまさに、読書の悦楽。

2010/12/04

すいません、★５つじゃ足りません。
１０個ぐらいください。
私にとっては墓に持って逝きたい漫画ベスト３のうちの１冊です。
お栄の女浮世絵師としての生き様には、
杉浦さんの女漫画家としての想いがすごく投影されていると想います。

文庫では持っているんですけどやっぱり大きい版がほしいなあ。