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ミスターシーナの精霊日記(2) Chara C
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ミスターシーナの精霊日記(2) Chara C

藤たまき(著者)

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ミスターシーナの精霊日記(2) Chara C

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 徳間書店
発売年月日 1997/10/01
JAN 9784199600531

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2010/04/10

大好きなフェアリードクター・シーナのシリーズ中でもダントツ大好きな『海の国の犠牲(サクリファイス)』が収録されてる第2巻。今回このレビューを書くにあたり久々読み返してみたら案の定、アホみたいに泣けてしまってまいった。藤さんの繊細なタッチで描かれる万華鏡のようにキラキラ色彩あざやか...

大好きなフェアリードクター・シーナのシリーズ中でもダントツ大好きな『海の国の犠牲(サクリファイス)』が収録されてる第2巻。今回このレビューを書くにあたり久々読み返してみたら案の定、アホみたいに泣けてしまってまいった。藤さんの繊細なタッチで描かれる万華鏡のようにキラキラ色彩あざやかなストーリーと、胸に迫る静謐で美しいモノローグの威力は本当すごい。言葉のチョイスが綺麗で優しくて、でも時に愚かな人間の真価を問うような生々しさもあって、決して上辺だけのお綺麗さじゃないからストンと心に落ちてくる。 そんなマイフェイバリット『海の国の犠牲』は、タンカー事故による原油流出で海洋汚染の危機に瀕している母の故郷の海辺の町をボランティアとして訪れたシーナが美しい海の精霊・セルキーと出逢う話。人災によって汚されていく海の底に棲む彼らの統治者・ダルーアンは度重なる人間の蛮行に怒り心頭で、制裁として二人の弟・ダモルトとダダーディンに日ごと近隣住民の魂を取ってこさせ、陸地の人々と徹底抗戦の構え。折悪しくそのどさくさに巻き込まれたシーナは海底にあるセルキーの住処・夏宮殿(サマーパレス)に囚われてしまうんだけど、セルキーと人間の確執はそのまま現代における環境破壊問題に通じるところがあって、シーナに向けられるダルーやダモルトの陸への憤懣は読者側の耳にも痛い。 かたやヒトを忌み嫌う兄達の横暴なやり方に懐疑的な末弟のダダーはまっすぐな心根の優しい子で、彼のまだ幼いがゆえの潔癖さや純真さが愛しくて癒されます。シーナにかけられた『妖精の男落とし』の魔法にも惑わされなかったダダーが、それでもなおシーナに惹かれ、本来ならば憎むべき対象であるはずのヒトを心から好きになっていく過程が本当にいとおしい。この話のキーパーソンとなる陽気で鷹揚なおじいちゃん人魚・メロウのクー・マラと、シーナのひいおじいちゃんとの若かりし頃のエピソードも素敵。とても純粋にシーナを想うダダーの刹那の初恋は、アンデルセン童話の『人魚姫』のように異種間恋愛の尊さとせつなさを孕んでいて、夜の波間でのラストシーンは涙せずにおれません。北海の町から自宅へ戻ったシーナがレイリィママに託したダダーへの伝言と、心の声でそっと彼に宛てた最後の告白にまた涙。 「何かを犠牲にしなくては…」。ヒトへの憎悪が冷めやらぬダルーに涙声でそう訴えかけるダダーの姿は、どれほど人間に蹂躙されてもなお黙してあるがままを受け容れる自然そのもののような気がしました。BLというカテゴリに敬遠せず、多くの方に読んでいただきたい作品。

Posted by ブクログ

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