水の舳先 新潮文庫

玄侑宗久(著者)

• 販売会社／発売会社: 新潮社/
• 発売年月日: 2005/03/01
• JAN: 9784101166513

商品レビュー

2023/01/13

玄侑宗久のデビュー作品。私小説かと思うほど描写が生々しい。これは作者自身の懺悔なのかもしれないと勝手に思っている。

2017/10/30

玄侑宗久さんは初めて。名前から想像されるようにお坊さんです(臨済宗)。「中陰の花」で芥川賞を受賞。
人の死や宗教観を主題にした小説です。
主人公の女性はクリスチャンですし、その懺悔を(多分、著者の分身である)僧侶が受け入れている。そうした自由な宗教観には共感を覚えます。
一方、物語としては、何か分散されていると言うか、まとまりがないような気もします。

2013/10/22

玄侑宗久氏デビュー作。
読みやすい美文ではあるが、
先に読んだ龍の棲む家に比べると、
硬い印象が拭えない。
肩肘張っているというか。

ただし、読ませ方はこちらが上。
末期ガン患者の死へのカウントダウンを、
臨場感を持って最後まで描き切っている。

同性としては、いかな宗教がらみの心情としても、
性的な奉仕(と、あえて言う)で
無死の恍惚を得るというのは共感が難しい。
ラストの湯灌のシーンが美しいだけに、
サトウさんへの行為と水というモチーフの不和が、
私の中では咀嚼しきれずのこってしまった。