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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 新潮社 |
発売年月日 | 2005/10/25 |
JAN | 9784103784050 |
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商品レビュー
4.1
24件のお客様レビュー
上巻に引き続き、彰之の庵で榮との対話が続く。金庫番で、姪の喜代子の夫でもある保田英世が自殺し、没落した榮が、庵に応援した知事候補の重森とか関係者を呼んでいろいろ話し、最後は死んだのかな。初江の餓死は警察からの知らせとして触れられただけ。福澤彰之シリーズの続編となる「太陽を曳く馬」...
上巻に引き続き、彰之の庵で榮との対話が続く。金庫番で、姪の喜代子の夫でもある保田英世が自殺し、没落した榮が、庵に応援した知事候補の重森とか関係者を呼んでいろいろ話し、最後は死んだのかな。初江の餓死は警察からの知らせとして触れられただけ。福澤彰之シリーズの続編となる「太陽を曳く馬」を読んだのは結構前だが、秋道は何をしでかしたんだっけ、とか結構忘れてしまっている。順番に読んだほうが良かったかなとかしみじみ思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
-2006.08.28記 高橋源一郎は、朝日新聞の書評で「終結部にたどり着いた時、突然感動がやって来る」と書くが、たしかに父.栄の狂えるリアのごとき集約の一点に、すべては流れ込むがごとき構成ではあるが、その劇的な仮構は、栄が語る戦後政治の膨大で生臭いエピソードの数々も、心の闇を抱え座禅弁道に励む凡夫の彷徨える心を言葉に紡いでいく彰之も、互いの長大なモノローグが観念の空中戦としか読めないかぎり、寒々として虚しい。 作者は「晴子情歌」「新リア王」につづく第三部となるべき世界を、すでに本書に胚胎させ、読者に予感させている。 これまた彰之のなさぬ子.秋道は「新リア王」の昭和62年時点ですでに18歳だが、父母という家族の愛に誕生のはじめからはぐれてしまった孤独な反抗者は、おのれの生そのものを呪いつつ世間に牙を剥きつづけるだろう。 その子.秋道と、昭和の60年余を、ひいては日本の近.現代の暗部をひたすら見つめ、おのれの生を生たらしめんと希求する父.彰之との相剋が、どんな世界を切り裂いて見せてくれるのか。 あまり期待を膨らませずに待ってみよう。
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「晴子情歌」から10年、禅僧となった外腹の子・彰之の寓居である崩れかけた草庵を、父である代議士・福澤栄が訪れた。 仏門に帰依するも永平寺での修行に行き詰まり生き直そうと送行(そうあん)、故郷でやり直そうとするものの再び永平寺に舞い戻った彰之。 策略からの秘書の自死、議員である息子...
「晴子情歌」から10年、禅僧となった外腹の子・彰之の寓居である崩れかけた草庵を、父である代議士・福澤栄が訪れた。 仏門に帰依するも永平寺での修行に行き詰まり生き直そうと送行(そうあん)、故郷でやり直そうとするものの再び永平寺に舞い戻った彰之。 策略からの秘書の自死、議員である息子・優の裏切りなど代議士として築き上げたものを政争の果てにすべて失った栄。 父と子それぞれの10年の物語。 長い年月を経て初めて対座する父と子が、自らの内面を曝け出す長い長い語りは禅問答のような緊張感と理解不能な難しさに難航。 彰之の語りでは、夏安居、堂行、法戦式などの禅宗独特の用語に戸惑いながらも、一つ一つ調べ読み進めるうち、次第に心は山深い禅寺に飛び、脳内に響き渡るぎゃ~ていぎゃ~ていのうねり。 方や栄の語りでは、原子力事業、産業振興、漁業補償、金庫番、派閥の覇権争いなどなど、政治の嫌らしい部分がこれでもかと突きつけられる。 旧態依然とした父のやり方を非難する息子・優の言葉を借りて、「口利きと談合と公共工事の水増しと補助金の不正受給で回っている郷土の姿」を嘆き、「この国では政治理念は初めから虚しくされ、形式だけの国会手続きと形式だけの政策論議すら虚しくされ、権力欲と札束に引っぱたかれて派閥を出入りする頭数だけの国会議員は、それでもバッジをつけて喜んでおる豚」と断じるあたり、高村先生の強い思いがビシビシと伝わってくる。 物語の時代から30余年、作品が出版されてからも15年が経過する今も、全く変わらない政治の姿に暗澹たる気持ちになりながら這々の体で読み進み、終盤に差し掛かかるとスピード感が一気に増し、グイグイと読ませてくれました。 おまけの合田雄一郎登場に狂喜乱舞し、2週間かかって読み切ったこの長大な作品は、栄と優、栄と彰之それぞれの父と子の「希求」と「反発」と「超越」の物語でした。
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