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モリスの愛した村 イギリス・コッツウォルズ紀行
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 晶文社/ |
| 発売年月日 | 2005/04/10 |
| JAN | 9784794966582 |
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モリスの愛した村
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モリスの愛した村
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ロンドンから西にテムズ川をさかのぼると、イングランドがウェールズと境を接する辺りに、その地方特有のクリームがかった灰色の石灰岩で組み上げた家々が立ち並ぶ、コッツウォルズと呼ばれる地方がある。ケルムスコット・プレスと呼ばれる美しい書物を作り、植物や鳥をモチーフにした細密な壁紙などの...
ロンドンから西にテムズ川をさかのぼると、イングランドがウェールズと境を接する辺りに、その地方特有のクリームがかった灰色の石灰岩で組み上げた家々が立ち並ぶ、コッツウォルズと呼ばれる地方がある。ケルムスコット・プレスと呼ばれる美しい書物を作り、植物や鳥をモチーフにした細密な壁紙などのテキスタイル・デザインを生み出したことで有名なウィリアム・モリスが、最愛の妻ジェインと過ごすために探し当てた理想の村が、コッツウォルズにあるケルムスコット村である。 家の前を小さなテムズ川が流れ、その趣のある外観から領主館(マナー・ハウス)と呼ばれる古い建築をモリスはいたく気に入ったようだ。モリスと違い、オックスフォード生まれのジェインは、ロンドンでの生活が合わなかった。夏場だけでもロンドンを離れて過ごせる家を探していたモリスにとって、ケルムスコット・マナーは注文通りの隠れ家だったろう。借地権を共有するダンテ・ガブリエル・ロセッティと、モリス一家はそこに移ることになる。 ロセッティは、詩人で、ラファエル前派を代表する画家でもある。ジェインをモデルに多くの傑作を残していることでも有名だ。ロセッティとジェインの仲は半ば公然の秘密であり、モリスは二人の関係に苦しむことになる。ケルムスコットに移転して間もなく、モリスは二人をそこに残し独りアイスランドに旅立つ。旅は苦境からの逃避行でもあった。 英文学者の著者は、その詩を読むことからモリスに近づいていった。やがて、オックスフォードを訪れた著者は、そこにモリスの愛した灰色の小さな村が今も残っていることに感慨を覚え、ことあるごとに近隣のモリスゆかりの村や丘を訪れ、彼の愛した建築や風景を愛でることを楽しんだ。この本は、そうした旅の折々に綴られた紀行文風エッセイである。 ケルムスコットに居を構えたモリスは、心を慰める村の風景を愛したが、中世の佇まいを残す美しい村も時代の波には勝てず、教会の石造りの床が、ヴィクトリア朝好みのタイル貼りに改築されようとしていた。村だけではない。この時代、英国中で古い遺跡や建築が、新しい時代に合わせた意匠に変えられていた。モリスはその流れに異を唱え、やがてはナショナル・トラスト運動となる環境保全の運動にいちはやく取り組んだのだった。 モリスたちの運動は、ただ美しい景観を残すというものではなかった。社会主義者でもあったモリスは、そこに人の生活のある村を愛した。機械的な大量生産でなく、手仕事にこそ芸術的な美しさがあると信じたモリスは、ロンドンから大量の芸術家を呼んで、アーツ・アンド・クラフト運動を起こすことになる。ケルムスコットこそはその中心であった。 運動そのものはやがて終焉を迎えることになるが、村の佇まいはそのまま残った。現在では、それを観光資源としてコッツウォルズは日本からも多くの観光客を集めている。ただ、観光地としての村はモリスが愛した、人が生活する村とはちがう。鉄道は廃線となり、車一台がやっとという田舎道を行かなければ辿り着けない村は、それだからこそ中世風の懐かしい姿をとどめていられるわけだが、著者は、そこに寂しさを感じているようだ。 村の風景を映したDVDも付いているが、残念ながら再生するプレイヤーがないので見ていない。お持ちの方は是非、映像とともに楽しんで読まれるといい。「夢を見るもの 時にかなって生まれた からっぽの唄をうたう歌人」と自称するモリスの詩も何編か引用されているが、立原道造の詩を思わせる、かなしさと懐かしさを感じた。コッツウォルズに行ってみたくなった。
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