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巡礼者たち 新潮クレスト・ブックス
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商品詳細
内容紹介 | 内容:巡礼者たち. エルクの言葉. 東へ向かうアリス. 撃たれた鳥. ト-ル・フォ-クス. 着地. あのばかな子たちを捕まえろ. デニ-・ブラウン(十五歳)の知らなかったこと. 花の名前と女の子の名前. ブロンクス中央青果市場にて. 華麗なる奇術師. 最高の妻 |
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販売会社/発売会社 | 新潮社/ |
発売年月日 | 1999/02/25 |
JAN | 9784105900076 |
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巡礼者たち
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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
瑞々しく伸びやかな文章が心地よい。どの短編にも魅力的な人物が登場し、さまざまな人生が語られる。 12篇を通してエリザベス・ギルバートはいくつかのスタイルを試しているように思う。 その中でも、リズミカルな会話によって人物をくっきりと描き出しながら、鮮やかなカットオフで強い印象を残...
瑞々しく伸びやかな文章が心地よい。どの短編にも魅力的な人物が登場し、さまざまな人生が語られる。 12篇を通してエリザベス・ギルバートはいくつかのスタイルを試しているように思う。 その中でも、リズミカルな会話によって人物をくっきりと描き出しながら、鮮やかなカットオフで強い印象を残す前半の物語たちが特に好きだ。 満天の星の一つがすぅっと低く弧を描いて流れる(『巡礼者たち』) 、大平原にまっすぐに伸びる道路を小さな車が一台ゆっくりと進む(『東へ向かうアリス』) 、どちらもラストシーンでカメラアングルが切り替わり、二人の小さな世界が急に広角へと移る。大きな映像が目に浮かぶ。 『撃たれた鳥』のクローズアップショットもいい。 父親が不在の中、母親と、母と旧知の男性の間で微妙な会話の間に置かれたタナー少年は、自分の靴紐の特殊な結び方を繰り返し練習している。固く締まっているようで、引っ張るとするりと解けてしまうという結び目へと焦点がぎゅっと引き寄せられて、物語はぷつんと途切れる。 後半では『花の名前と女の子の名前』がじわっと心に残る。 耄碌が進んで、花の名前と女の子の名前しか言葉として出てこない大叔母さんの話をエピソードとして使いながら、世慣れた様を気取ってみせても寂しさがにじむ旅芸人の女歌手と、世間知らずで純朴な絵描きの青年の心情が淡々と描かれる。 彼女は人のふれあいを望み、彼は美の対象として相手をみる。思いと視線は交わることはないが、それは解り合えないということとはまた違う。 しっかりとしたストーリー構成と余韻を感じる。 短編のスタイルについてばかりを書いたが、魅力は人にある。市井に生きる登場人物たちが、ふとした瞬間に垣間見せる善なるものーモラルや宗教とは無縁な、言うなれば魂の健やかさのようなものーが物語の芯となっている。 だからこれらの物語は、少しばかりおとぎ話なのかもしれない。 むかしむかしで始まるのに、ハッピーエンドには終わらなかったとしても。
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駆け落ち、笛に騙されて現れるエルク、故障車の姉弟の手助けをする寡夫のロイ、友人の妹に恋し病気の介抱をする15才のデニー、クラブのダンサーに魅了され肖像画を描く青年と、花と女の子の名前しか思い出せない大伯母、運転するスクールバスに過去の恋人たちが次々と乗って来る70才に近いローズ。...
駆け落ち、笛に騙されて現れるエルク、故障車の姉弟の手助けをする寡夫のロイ、友人の妹に恋し病気の介抱をする15才のデニー、クラブのダンサーに魅了され肖像画を描く青年と、花と女の子の名前しか思い出せない大伯母、運転するスクールバスに過去の恋人たちが次々と乗って来る70才に近いローズ。下層級の人々の記憶に刻まれた一日の描写で彼等の人生が俯瞰できるような短編集でした。
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“棕櫚の葉もてる巡礼者は異境を求めて行かんと冀う―” この世には人の数だけ人生があります。だけど私たちが知るのはそのごく一部。体感できるのはたったひとつだけです。それはあまりにももったいない。E・ギルバートによって書かれたこの本はその中の幾つかを紹介してくれます。 『東...
“棕櫚の葉もてる巡礼者は異境を求めて行かんと冀う―” この世には人の数だけ人生があります。だけど私たちが知るのはそのごく一部。体感できるのはたったひとつだけです。それはあまりにももったいない。E・ギルバートによって書かれたこの本はその中の幾つかを紹介してくれます。 『東へ向かうアリス』 町へ向かう主人公が出逢ったのは、トラックが故障しひまわり畑で立ち往生する兄妹。二人との会話が思い出させる忘れかけていた辛い過去と向き合うべき現実。死ぬことと死にかけることの違いとは。 『花の名前と女の子の名前』 ありし日の祖父が一目ぼれし虜になった女性歌手。彼女を画に描こうと本人に逢いに行くが。やがて当時の祖父の大叔母と現在の彼の姿が溶け合い、最後に残るのは全ての花の中でもっとも痛みを抱えた名前だけ。 『華麗なる奇術師』 人には分からない強い絆で結ばれたオーナーとマジシャン。泥棒や兎に振り回される悲哀に満ちた数奇な運命を辿る彼ら。数々の涙の末に、魔法のごとき奇跡を起こす小さな奇術師の姿を見ることができます。 その他『撃たれた鳥』『あのばかな子たちを捕まえろ』等、表題作を含む全12編の物語。老いも若きも、男性も女性も、平凡すぎて世間に埋もれた無数の生き方だからこそ、時には触れてみる価値があるのだと思います。 そんなお話。
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