ヤァ！ヤァ！ヤァ！ビートルズがやって来た 伝説の呼び屋・永島達司の生涯

野地秩嘉(著者)

• 販売会社／発売会社: 幻冬舎
• 発売年月日: 1999/10/10
• JAN: 9784877283278

商品レビュー

2024/03/08

ビートルズ来日がもたらしたものは、大人にならなくてはいけない、という概念が、大人にならなくても良いことだと作者は述べる。

　ビートルズに批判的だった当時の評論家や、文化人たちは、嬌声がうるさくて音楽が全く聞こえなかったと言ったが、絶対にジョンやポールに会いたいと言って、学校を休んで行った子たちには、ポールの息を吸い込む音や、ジョンがピックを弾いた音、リンゴがシンバルを擦った音が鮮明に聞こえていたのだ。

自分もそうだが、今も昔も歳を取ると、若者達に人気がある曲が同じように聞こえてしまい、アイドルグループのメンバーの顔の区別がつかないと嘆く。
それは整形して同じ顔になるからでは無く、自分が鈍感で、ネズミ対策の超音波音が聞こえないほど聴力が衰え、勝手に「あれに似ている」とパターンにはめ込むことによって解像度が低いまま眺めているからなのだ。

　かつてその感性をもった人達！まさか、新しいアーティストを見て、ビートルズの真似だなあと言ってないよね？そうなってはいかんよな
　などと思った。

2018/10/15

当時の人の証言や時代背景などまで細かく取材・調べこまれており、説得力がある。ビートルズ日本公演という事実の裏にこれほどいろいろなドラマ、事件、人間模様があるとは。プロモーターの成り立ちもよく分かった。少々センチメンタルな部分が無くもないが、徹底した取材・調査がそれをタツ・ナガシマの人間性の描写にしている。こうした良質のルポルタージュは生半可な小説よりもよっぽど面白い。もう少しこういったものを読むのもいいだろう。