泥の花 「今、ここ」を生きる

水上勉(著者)

• 販売会社／発売会社: 河出書房新社/
• 発売年月日: 1999/11/20
• JAN: 9784309013176

商品レビュー

2025/07/11

貧しい家庭出身で、奉公先の寺から脱走、職を転々とした末、40歳を超えて得た文学賞。
素朴な人柄と優しい文体の礎には、貧困を原動力にひたむきな努力の結晶があったんだな。水上氏が更に好きになった。

2020/12/23

1919．3.8、福井の若狭に生まれた水上勉、1961年「雁の寺」で直木賞受賞、「飢餓海峡」「越前竹人形」など。2004．9.8、85歳で没。「泥の花」、今ここを生きる、1999.11発行のエッセイです。①現代の生老病死は、病院が司る薬に還元される医療　②病院と葬式業者と寺院が結びついた死の風景、からだは病院の所有物になる　③1970年代以降、自然・風土の荒廃が進むにつれ（経済成長だけを）、人間の心の荒廃もあからさまになった。④1995年頃からインターネットが流行り、郵便配達のいないEメールを楽しむように

2014/12/26

水上勉の土臭さ、泥臭さの部分が好きだ。
「性格がいじけていて、ひがみ根性があって、陰々鬱々、陰気な野良犬であった。」
そのような自己分析をしているが、そのもっと奥底には土や泥の中にある温みというものを私は感じる。
水上作品を引き続き読んでいきたいと思う。