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メイド・イン・ロンドン
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 文藝春秋/ |
発売年月日 | 1998/12/01 |
JAN | 9784163544700 |
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メイド・イン・ロンドン
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商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
15才で渡英留学した世界トップ級、イギリスのロイヤル・バレエ団に留学し、プロとしてそのトップまで上り詰め、26歳でこのバレエ団を出るに至るまでの話。 あまりにもうまく進みすぎているのではないかと思うぐらい、リズムよくプリンシパルになる。 並大抵ではない才と何かを引き付ける力があるとしか言いようがない。 20年前に書かれた作品。今年新しい著作が発行されたので、それを読む前にこちらを読もうと思って手に取ったのだけれど、26歳の時点でこれだけのことを成し遂げ、振り返り、文章にしているということにただただ驚愕する。 20年前とは言わないまでもそれに近いころから「熊川哲也」という名前はバレエダンサーとして知っていたけれど、実際にどのような人物なのかということはこの本を読んで初めて知った。とはいってもこの本に書かれていることは一部ではあるだろうし、それから20年以上たってまだその名を目にし耳にする現在、新しい著作からその後について追って読みたいと思う。
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忘れもしない、彼を初めて目にしたのは、1995年版のロンドンガイドブック。当時、シャーロックホームズに傾倒していたため購入したその本の後ろの方に、彼がいた。ワインレッドのベルベットの座席と、長い歴史だけが作り出せる独特の黄金色の照明。その中で、彼は悠然とソファに座って足を組んでい...
忘れもしない、彼を初めて目にしたのは、1995年版のロンドンガイドブック。当時、シャーロックホームズに傾倒していたため購入したその本の後ろの方に、彼がいた。ワインレッドのベルベットの座席と、長い歴史だけが作り出せる独特の黄金色の照明。その中で、彼は悠然とソファに座って足を組んでいた。テディと呼ばれているらしい。 次は、テレビで見た。大江千里と大林素子が司会をするNHKの番組で、彼は言った。「セミナーに参加したら、案の定外国に留学することが決まって」。案の定?と怪訝な顔をする司会者たちに、彼はほんの少し、微々たるものだけれど困惑した顔で「日本語間違っていますか?」と返した。 最近も、テレビで見た。松岡修造と対談している番組で、アスリート然した体つきの松岡修造の隣で、彼はやけに華奢に見えた。 そんな彼が本を、しかも自分で書いていたなんて知らなかった(といっても、多忙の彼に執筆作業をする時間があったのか、果たして謎だけど。と書きながら、彼ほどの才能があれば、時間をやりくりすることなんて存外簡単なのかもしれないと思い直す)。 これを、26歳の時点で書けるというのが、驚異的だと思う。映画ブラックスワンを観たときに、ナタリー・ポートマン演ずる主人公は、主役を演じるための精神力がまったく足りていないと思ったのだけれど、彼の精神力には終始度肝を抜く。 自信は英語ではconfidenceと訳されることが多いように思うけれど、彼が持っているのはそれではなく、self-confidenceなのだと思う。ダンサーとしての自分の最大の味方は自分、と書かれているように、彼は他人と比較をしない(過去にはしていたようだけれど)。敵も自分、味方も自分、越えるべきも自分、でも、バレエという芸術を届けるべきは観客。しびれるじゃないですか。これはナルシシズムなんかじゃない。ナルシストには、ここまで自分と向き合うことはできないはず。芸術家はえてして、感性のみで生きていると思われがちだけれど、そこには感性を裏付けするための理論や技術、職人的な集中力、セルフプロデュースするためのマーケティング能力など、様々な力が必要で、決して夢の世界に生きているわけではない。 あのガイドブックで初めて彼を見てから、数回舞台も観劇した。でも今回、彼の言葉をたくさん読んで、改めて痛感する。彼は、本物だ。バレエではないけれど、クラシック音楽を生業にする者として、ハッとさせられる言葉やフレーズがたくさんあった。 余談だが、巻頭にあるカラーの写真がとてもかわいらしい。そうか、彼も若かったことがあるのだな、と思う。
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熊川哲也とはどんな人間なのか、興味をひかれて読みました。十数年前、ロイヤルバレエ団を退団して独立した頃のエッセイ。世界でトップレベルのダンサーの強烈な個性と自意識が伝わりました。一度は舞台を見てみたい。
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