- 中古
- 書籍
- 書籍
- 1222-01-07
四十一炮(下)
定価 ¥2,860
990円 定価より1,870円(65%)おトク
獲得ポイント9P
在庫なし
発送時期 1~5日以内に発送
商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 中央公論新社/ |
| 発売年月日 | 2006/03/10 |
| JAN | 9784120037122 |
- 書籍
- 書籍
四十一炮(下)
商品が入荷した店舗:0店
店頭で購入可能な商品の入荷情報となります
ご来店の際には売り切れの場合もございます
オンラインストア上の価格と店頭価格は異なります
お電話やお問い合わせフォームでの在庫確認、お客様宅への発送やお取り置き・お取り寄せは行っておりません
値下げ前価格について
本価格は現中古販売価格の「値下げ前価格」となります。
直近約1か月間、値下げ前価格での販売実績があるものだけ表示しております。
四十一炮(下)
¥990
在庫なし
商品レビュー
5
3件のお客様レビュー
私はこの作品を最後の最後まで見誤っていた。 作者によるあとがきを読み終わるまで、私は捉えどころのない雲を無我夢中で掴みとろうとするかのような気分でいたのだ。それこそが莫言の狙っていたことであることにまったく気付かないままに。 全てを理解したとは言い難い。私の心はあの世界に囚われた...
私はこの作品を最後の最後まで見誤っていた。 作者によるあとがきを読み終わるまで、私は捉えどころのない雲を無我夢中で掴みとろうとするかのような気分でいたのだ。それこそが莫言の狙っていたことであることにまったく気付かないままに。 全てを理解したとは言い難い。私の心はあの世界に囚われたままで、その秘めたる可能性を今も探っている。『四十一炮』の「炮(パオ)」はほら吹き=嘘を表すという。しかし、ここに語られるほら話は決して薄っぺらではなく、人間の精神世界と強く結びついていると思えてならない。それを知るために、私はどこまで潜っていくことができるのだろうか。 幻想的な現代パート、リアリティを持った回想パートと決めつけて本作を読み進めていったが、見事に裏切られた。叙述による誘導は推理小説でもありうることだが、現代時間のあまりにも常識離れした描写との対比が、羅小通の語る話が全て真実であるかのような印象を作り出し、私の脳裏に強く焼き付けたのだ。老獪にもうまく立ち回って人々を騙し続けてきた老蘭を粉々に打ち砕く大砲は、事実と信じ切っていた私の考えすらも同時に吹き飛ばした。こうして、本作は作者が語ったように「物語が語り手を語る」という摩訶不思議な事態に突入したところで幕を引くのである。その余韻は果てしなく続く。私の命の尽きるその瞬間まで、きっとこの余韻は続くのであろう。 思えばこの小説は煙に巻くような仕掛けに満ちていた。構成は言わずもがなだが、登場人物たちの描写においても確信を避ける工夫が凝らされている。本作における敵と言ってよい老蘭だが、明らかにきな臭い人物であるにも関わらず、その悪事の証拠を掴むことができない。食肉に注水する違法行為に関しても民の利益を思っての行動に見えるし、主人公の母親も含めた多くの女性との不義の関係についても直接的な描写がない。むしろ自らの耳の半分を千切った男の息子である主人公を手厚く迎え、その才能を認めて子供ながら経営する工場の主任に抜擢するなど器の広さを見せつけている。ほら話を吹聴して回る癖はあれど「金は阿呆じゃ、生かすも殺すも人次第」という格言を残すなど、大物といって差し支えない活躍をしているのだ。その悪事の証人となりうる人物たちも皆信用に値しない始末で、絶対的な悪と断定することができない。真実を探る為にあらゆる場面を思い出して考察してみようかと思ったが、作者のあとがきを思い出し、それが完全に無駄な行為になると気づいた。本作において重要なのは「語り」なのだ。『ブリキの太鼓』の主人公のようにいつまでも大人になれずに落ちぶれていった羅小通というほら吹きによる、頭の中をぶちまけるような語り、それがこの小説の本質なのである。 本作が著者による新境地開拓に向けての実験場であるという私の読みは当たっていた。しかし、実験の全貌については、最初に述べたように未だ掴めないでいる。フォークナーがお気に入りの作品を2、3年ごとに読み直したように、私もこの小説を数年ごとに読み直そうと思う。間違いなくその度に新たな発見をすることであろう。
Posted by 
食肉加工を専業とする「落とし」の村で生まれ育った羅小通(ルオシャオトン)を主人公とする物語。一炮から四十一炮まで41パートに分かれているが,各パートの中でも主人公が10年後に「和尚さま」を相手に語る部分と,10年前の幼少時代の話が並列しており,特に前者は幻想的でどこまで本当でどこ...
食肉加工を専業とする「落とし」の村で生まれ育った羅小通(ルオシャオトン)を主人公とする物語。一炮から四十一炮まで41パートに分かれているが,各パートの中でも主人公が10年後に「和尚さま」を相手に語る部分と,10年前の幼少時代の話が並列しており,特に前者は幻想的でどこまで本当でどこから嘘なのかも曖昧な形になっている。 幼少時代のストーリーは莫言らしい土俗的なものだが,上巻では特に「野生ラバ」おばさんと父親が駆け落ちした後,母親と貧乏暮らしする話が中心。突然父親が「妹」を連れて帰ってくるあたりから話が急展開を始めるが,上巻はそこに辿りつくまでがちょっとまだるっこしい。 下巻は主人公が「肉」と会話できるようになり,幼少期のストーリーは俄然面白くなってくる。一方で10年後の方はエロチックな妄想も増えどんどん訳がわからないことに。 まあとにかく語りの面白さでは右にでるものがない小説。百聞は一見にしかず。読むしかない。
Posted by 
舞台は中国。壊れかけたお社の中で、今は落ちぶれた主人公が、和尚を相手に子供時代の身の上話をする、と言うのがこの小説の体裁。 主人公は、村中が屠殺(差別用語として使っているつもりはありません。念のため)を専門にしている村に生まれ、肉をこよなく愛して育ちます。浮気をして家を出た父...
舞台は中国。壊れかけたお社の中で、今は落ちぶれた主人公が、和尚を相手に子供時代の身の上話をする、と言うのがこの小説の体裁。 主人公は、村中が屠殺(差別用語として使っているつもりはありません。念のため)を専門にしている村に生まれ、肉をこよなく愛して育ちます。浮気をして家を出た父親、肉料理の名手であるその愛人、後に残った肝っ玉母さん、主人公に眼をかける村の実力者、と個性的で魅力ある人物がたくさん出てきて、善悪も愛憎も一筋縄ではいかない関係を繰り広げていきます。 この昔語りに、「現在」の主人公が挟まるのですが、今は大人のはずの主人公の語り口は子供のころと変わらない。描写される状況も、幻想的だったり、主人公が知るはずもない過去の話だったり、虚実ないまぜです。 そもそも一番初めに「おいらの話は『ほら』じゃない」って書いてあるくらいのほら話。ほら話って楽しいよね? ぐいぐい引っ張っていってくれる語りについていけば、「うおー、おもしろかった!」と言って読み終われるような本です。初期の作品でガルシア・マルケスに比べられたことがある人みたいですが、それも納得。 舞台が中国で食肉文化が描写されるので、犬とかロバとか猫とかの肉が出てきて、ちょっと食欲減退な感じですが、そんなに残酷なシーンはでてこない、と思います。でも繊細な方だと違うのかな…。まあ人間生命を食べずには生きられないわけだし。 肉が傷まないようにホルマリンを注入しちゃうとか、「中国の食品やばいよ!」みたいな旬な題材もでてきて興味深いんですが、それが吹っ飛ぶような濃い語りでした。主人公が子供だからか、主要モチーフが食と性だからか、善悪を吹っ飛ばすような異様な逞しさがあるんですよね。大陸だからかしら(←島国の人の偏見?)
Posted by 
