1,800円以上の注文で送料無料
四十一炮(上)
  • 中古
  • 書籍
  • 書籍
  • 1222-01-07

四十一炮(上)

莫言(著者), 吉田富夫(訳者)

追加する に追加する

四十一炮(上)

定価 ¥2,860

990 定価より1,870円(65%)おトク

獲得ポイント9P

在庫なし

発送時期 1~5日以内に発送

商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 中央公論新社
発売年月日 2006/03/10
JAN 9784120037115

四十一炮(上)

¥990

商品レビュー

5

2件のお客様レビュー

レビューを投稿

2025/11/29

莫言作品としては読みづらい部類に入るかもしれない。語り手による現代の時間と、回想が交差しながら進むストーリーは他作品に増して幻想的な上、徹底的に合理化した文章は読む側に妥協の余地を与えてくれない。このため少しでも気を抜くとついていけなくなってしまうのである。 日本語wikiでは...

莫言作品としては読みづらい部類に入るかもしれない。語り手による現代の時間と、回想が交差しながら進むストーリーは他作品に増して幻想的な上、徹底的に合理化した文章は読む側に妥協の余地を与えてくれない。このため少しでも気を抜くとついていけなくなってしまうのである。 日本語wikiでは原書の刊行順に作品が並べられていないため、中国語で書かれた莫言作品の年表を調べてみた。何せ中国語がわからないため正確に情報を掴み取れなかったのだが、本作は『白檀の刑』と『転生夢現』の中間に位置する小説らしい。中国の古典的な白話小説のエッセンスを多分に含んだ両作品と比べて、この『四十一炮』はかなり異質に感じられるが、肉親が家畜に転生する逸話など、仏教説話に影響を受けたと思われる小話も含まれていて、後の『転生夢現』に向けた試行錯誤が行われていた跡が各所に見える。『白檀の刑』を書き上げた莫言は、これまでとは違う新しい分野を切り開こうとしていたのかもしれない。90年代、今までと比べてはるかに新しい時期から開始する本作品を読んでいると、大作家による産みの苦しみが直に伝わってくるように感じられる。慣れ親しんだ莫言の軽妙な語り口とは一味違う、苦しく喘ぐような文体を追い続けるのはなかなかの苦行だ。しかし我慢して読み進めていくと、少しづつ作家の研ぎ澄まされた感覚に引き込まれていく。そうして、『透明な人参』の頃の本当に無駄のない描写と、土着的な言語感覚の混じり合う不思議な文章という新境地を開拓しようとする作家の狙いにようやく気づくのだ。気づいたのも束の間、上巻は終わってしまうのだけれども...。下巻でその試みは思惑通りに達成されているのだろうか。早く続きを読まなければと思う。 本作は読みづらいにしても、名言の宝庫と言える。 「口を通して腹に入ったものこそ真実、それ以外はまやかしだ。」 「口に贅沢をさせてしまってはいけない。味をしめてしまえば、何一つ我慢できなくなってしまう。」 「口は通り道のようなものだ、腹に入ってしまえば肉も野菜も魚も同じようなもの。」 「自分の家を持つことや所帯を持つことなんてどうでもいい!腹一杯肉が食えることが幸せじゃ!」 「肉というのは、食べて腹の中で消化されるまでを楽しむものなのじゃ。」 主人公である羅小通、その父、そして母、全員が食に対して違う考えを持っていて、それぞれが力強く思想を相手にぶつけ合う。全ての思想は矛盾しているが、どれも正しく思えるのが面白い。莫言という作家は本当に全ての登場人物を「主人公」のように扱うのが上手い。矛盾する思想はぶつかり合うことで物語を磨き上げ、複雑で味わい深いものに仕立て上げていくのだ。莫言が大作家たる所以がここにある。彼は、全員を第三者として扱うのではなく、当事者として扱う。『四十一炮』は異質な作品ではあるが、ここに関しては全くブレない。だからこそ読みづらい文体ながら、我慢して読み続けることができるのである。 より現実的な回想パート、それとは対照的に幻想的で支離滅裂に感じられる現代パート、この二つが織りなすストーリーはどこへ向かっていくのだろうか。全ての謎が回収されることを信じて、下巻の扉を開こうと思う。

Posted by ブクログ

2012/10/15

食肉加工を専業とする「落とし」の村で生まれ育った羅小通(ルオシャオトン)を主人公とする物語。一炮から四十一炮まで41パートに分かれているが,各パートの中でも主人公が10年後に「和尚さま」を相手に語る部分と,10年前の幼少時代の話が並列しており,特に前者は幻想的でどこまで本当でどこ...

食肉加工を専業とする「落とし」の村で生まれ育った羅小通(ルオシャオトン)を主人公とする物語。一炮から四十一炮まで41パートに分かれているが,各パートの中でも主人公が10年後に「和尚さま」を相手に語る部分と,10年前の幼少時代の話が並列しており,特に前者は幻想的でどこまで本当でどこから嘘なのかも曖昧な形になっている。 幼少時代のストーリーは莫言らしい土俗的なものだが,上巻では特に「野生ラバ」おばさんと父親が駆け落ちした後,母親と貧乏暮らしする話が中心。突然父親が「妹」を連れて帰ってくるあたりから話が急展開を始めるが,上巻はそこに辿りつくまでがちょっとまだるっこしい。 下巻は主人公が「肉」と会話できるようになり,幼少期のストーリーは俄然面白くなってくる。一方で10年後の方はエロチックな妄想も増えどんどん訳がわからないことに。 まあとにかく語りの面白さでは右にでるものがない小説。百聞は一見にしかず。読むしかない。

Posted by ブクログ