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押川春浪集 明治探偵冒険小説集 3 ちくま文庫
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押川春浪集 明治探偵冒険小説集 3 ちくま文庫

押川春浪(著者), 伊藤秀雄(編者)

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押川春浪集 明治探偵冒険小説集 3 ちくま文庫

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房
発売年月日 2005/06/10
JAN 9784480420831

押川春浪集

¥1,375

商品レビュー

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2019/05/17

【銀山王】 『紅海の波と印度洋の波とが合する処に、亜典(アデン)と云う綺麗な港がある。洋々たる亜典湾の波を隔てて遥に阿弗利加(アフリカ)大陸に対し、ここは橄欖(かんらん)の花咲く亜剌比亜(アラビア)の南浜(なんぴん)ではあるが…』 …というなかなか豪奢な描写で始まる一品。 この...

【銀山王】 『紅海の波と印度洋の波とが合する処に、亜典(アデン)と云う綺麗な港がある。洋々たる亜典湾の波を隔てて遥に阿弗利加(アフリカ)大陸に対し、ここは橄欖(かんらん)の花咲く亜剌比亜(アラビア)の南浜(なんぴん)ではあるが…』 …というなかなか豪奢な描写で始まる一品。 この美しいアデンの港町で繰り広げられる三角関係。 イギリス人令嬢の浪島楓(なみしま かえで)嬢と婚約同然にあった日本人貴族の羽衣(はごろも)男爵を銀山王の一人娘有州緑(ありす みどり)姫が奪い取っていた。 絶望の底にあった楓嬢は、全財産を叔父の黒蛸(くろだこ)紳士に譲り渡して一人町を出る。 そんな楓嬢の貢献を申し出たのは、緑姫の父有州老侯爵と妻の白縫夫人に恨みを持つ離島老人だった…。 イギリス人が日本名だったので最初慣れなかったけれど、そういえば昔は海外翻訳ものも日本人名に変えられていたんですね。(たとえば「トム」を「太郎」、「マリー」を「真理子」みたいな) 話の流れは、三角関係あり、お嬢さまの危機あり、復讐あり、変装あり、派手な死亡場面ありのかなり豪華なお話(笑) 一応最後はイギリス人の楓さんと日本人の羽衣君はよりを戻すのだが…。現代感覚でいうと「日本のばかもんがゴメンナサイ…」という気持ちに(笑) 【世界武者修行】 『天下を横行す七寸の草鞋、草鞋が切れたら高襟(ハイカラ)を蹴飛ばしてその靴を奪わん、靴が破れたら美人を凹ましてその銭を捲上げん、これ世界武者修行の極意である。読者諸君!軽佻の骨、浮薄の皮、而して(しこうして)青病譚の癖に屁理屈ばかり捏ねる(こねる)高襟弱虫共の多き二十世紀…』 これまた御大層な始まり方(笑) 要するに高襟(ハイカラー)を蹴飛ばして天下を跋扈する蛮殻(バンカラ)な主人公、団金東次(だん きんとうじ)が、大暴れの日々を過ごしたら大学放校、仕送り中止となったことを機に、それならば日本狭し、世界武者修行に出た、というお話。 行く先々でも大騒動、人助けにポンと大金与えたり、強盗退治に出たら気に入られたり、仇討の助っ人を買って出たり…。 まずは上海から桑港(サンフランシスコ)に渡って騒動起こしたところで終わっているが、作者としては続きを書ける状態にしていたのかもしれない。 【魔島の奇跡】 『椰子の花咲く亜剌比亜(アラビア)の都府(みやこ)に、蘭平(らんぺい)と呼べる一人の軽子(かるこ)が住んでおりました。ごく剽軽な親仁ながら、お気の毒にも貧乏暇なしで、年が年中稼いでも鐚(びた)一門も剰(あま)らず、家では嬶がわめく餓鬼が泣く家外(そと)へ出ると犬まで吠付く…』 これまた御大層な描写から始まる冒険譚。 アラビアの貧乏な欄平おじさんが、たまたま“航海王船乗伯爵”の宴会に招かれ、その冒険譚を聞くというお話。 難破船から一人助かったと思ったら魔の島に漂着してしまった、王に気に入られたと思ったら死んだ妻と共に生き埋めにされる風習のある島だった、多くの美女に囲まれた屋敷で決して開けてはいけない部屋の鍵を預かった…などなど。 アラビアン・ナイトのシンドバットの冒険が元になっている…というか分かりやすく日本に紹介したような物語。

Posted by ブクログ

2010/03/21

134年前の1876年3月21日に愛媛県松山市に生まれた小説家。彼が明治33年(1900年)に書いた『海底軍艦』(正式には、『海島冒険奇譚 海底軍艦』と長ったらしい)をもって日本SFの祖といわれていますが、自覚したきっかけは筒井康隆や星新一や小松左京だったとしても、私がジュブナイ...

134年前の1876年3月21日に愛媛県松山市に生まれた小説家。彼が明治33年(1900年)に書いた『海底軍艦』(正式には、『海島冒険奇譚 海底軍艦』と長ったらしい)をもって日本SFの祖といわれていますが、自覚したきっかけは筒井康隆や星新一や小松左京だったとしても、私がジュブナイルものでSFを読み始めた小学生の頃の一番の課題は、どうすれば手っ取り早く全貌をつかめるかということでした。最初はやはり、頭の固い文学少女にとっては、小説の王道である純文学や推理小説からすればSFはどこか異端児のような、本当は好きでそっちの方が性に合っているとは思いつつも、そんなふしだらな、って感じで敬遠しがちでした。なんとかもっと、SFを我がものにするためにはと、一計を案じた末に、市の図書館にある、世界で初めて出された早川書房版の世界SF全集全35巻を読破することを思いつきました。幸い家に父が蒐集していたSFマガジンの数百冊のバックナンバーもありましたし、私も暇にまかせて、欠けていた創刊当時の丸表紙の号も古書店で見つけたり、早川文庫や創元文庫はもちろん消滅したサンリオ文庫も全部揃える徹底ぶりでしたが、さすがに友人の中にいたSF完全主義者のS君のように、原書まで読んで、ヒューゴ賞やネビラ賞やローカス賞やフィリップ・K・ディック記念賞の最新作までフォローするまでは到りませんでした。あとは、概観的なこととか歴史的なことを学ぶために、もっとも気にいって繰り返し読んだのが、福島正実の『SF入門』と石川喬司の『SFの時代』の2冊でしたが、おそらく本書のような胎動期のものまで読むようになったのは、そのものズバリの『快男児 押川春浪』という本も書いていますが、明治期のSF研究の第一人者である横田順弥の著作『日本SFこてん古典』を読んだことが影響大だったと思います。ともかく、科学も技術も萌芽のかけらすらなかった貧弱な乏しい時代に、まったくの想像力だけで、船首に回転するドリルのついた潜水艦を登場させること自体が、たとえジュール・ベルヌの『海底二万里』の影響下にあるとはいえ、こんなとんでもない絵空事を思いつくことは、やっぱりすごいことだと思います。まあそれが、多少とも軍国主義の匂いがすることは気になるとしてもです。・・・ああ、しまった、ごめんなさい、文章を終えようとして、何か気のきいた一節でも引用してもいいかなくらいの気持ちで、パラパラと頁をめくったら、唖然、なんとこの本には「海底軍艦」は入っていなくて、「銀山王」と「世界武者修行」と「魔島の奇跡」という3つ、しかも3編とも冒険小説ということでした。押川春浪という名前だけで引っ張ってきて、できるだけ最近の、しかも文庫の方が手に入れやすいという方向性で選んだのが、あだになりました。よく見れば、タイトルに冒険小説集と銘打たれてますよね。どうか、このあわて者の私をお許し下さい。

Posted by ブクログ

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