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日本の詩歌 その骨組みと素肌 岩波現代文庫 文芸97
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 岩波書店/ |
| 発売年月日 | 2005/12/16 |
| JAN | 9784006020972 |

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日本の詩歌
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商品レビュー
4.3
4件のお客様レビュー
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著者がフランスの高等機関で日本の詩歌について講義したこの作品は日本の万葉集以来、芭蕉の俳句に至る詩歌の歴史を充実した説明で極めてレベルが高い内容だ。著者がまず日本人にまず読んでほしい、と巻末で書いているのに全く同感である。菅原道真の漢詩から始まるが、万葉集、古今集、新古今集の代表...
著者がフランスの高等機関で日本の詩歌について講義したこの作品は日本の万葉集以来、芭蕉の俳句に至る詩歌の歴史を充実した説明で極めてレベルが高い内容だ。著者がまず日本人にまず読んでほしい、と巻末で書いているのに全く同感である。菅原道真の漢詩から始まるが、万葉集、古今集、新古今集の代表的女性歌人として恋愛歌を詠んだ笠女郎(かさのいらつめ、大友家持に宛てた恋愛歌)、和泉式部、式子内親王の歌を紹介は特に興味深かった。女性にとっては閉ざされた世界で恋愛に命をかけていたので、男性を圧倒するような強い歌人が誕生したという説明には全く頷ける。家持が彼に宛てた笠女郎の歌29首を勝手に万葉集に加えた!という事実の暴露は愉しいが、彼女には残酷な話として印象に残った。紀貫之の古今集仮名序の序文が説明されているが、正に和歌が人と人の和、唱和を図るコミュニケーション手段だった、その特色を簡潔に表現したものだと痛感した。そのためたとえ風景の描写歌が内面世界の叙述でもあるということは日本文化の素晴らしい特徴だと思う。そして日本語が主語を欠いても表現できる点で、和歌や俳句などの短い詩歌を実現できている一方で、自己主張の弱さを抱えていることもその通りだと感じた。
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1994、95年、フランスのコレージュ・ド・フランスという高等教育機関で大岡信氏が5回に渡って行った講演をまとめたもの。各回の要点をまとめると ・紫式部らのかな文学黄金時代の一世紀前にいた、日本の代表的な大詩人は菅原道真である。その時代までは、詩は中国と同様、漢字で書くものであ...
1994、95年、フランスのコレージュ・ド・フランスという高等教育機関で大岡信氏が5回に渡って行った講演をまとめたもの。各回の要点をまとめると ・紫式部らのかな文学黄金時代の一世紀前にいた、日本の代表的な大詩人は菅原道真である。その時代までは、詩は中国と同様、漢字で書くものであり、政治的なことや個人的な意見など理知的な内容を表すものであった。 菅原道真は大政治家として活躍していた時は、そのように理知的で見事な漢詩を書いていたが、九州や四国に左遷させられてからは、地元の苦しい生活をしている民衆に目を向けたり、自分の窮状を嘆いたりする漢詩を残している。それが見事である。 ・藤原家独裁時代、貴族たちは政治的なことなどについて“個”を表すことが出来なくなった(個を表すと菅原道長のように左遷させられるから)。そして日本の詩は“個人を埋没させたもの”が主流になった。また、政略結婚が重要な出世手段であったので、身分の高い深窓の令嬢との和歌のやり取りは非常に重要であった。“政治などと関係のない個人的な恋愛”などを自由に歌う内容は女性により向いており、ひらがなの発明も手伝って紫式部、和泉式部、清少納言などの女流詩人黄金時代となった。 この時代、編まれた勅撰和歌集「古今和歌集」での紀貫之の序文から、和歌の“和”はやまとという国の事だけでなく自然やひとの心と“和する”という意味だと考えられる。 ・母音と子音の交代のある日本の言語体系では西洋の詩のように“押韻”という修辞法をとれなかった。ゆえに、日本の詩での修辞的条件は“押韻”ではなく“音数律”となった。一定の音数によってリズムをとるだけの単純な修辞法。そしてその短い詩形のなかで、与える情緒によっては多義的で深い、言葉の構造体が生み出され、“懸け言葉”のような技法も生み出された。 ・平安時代までは日本の詩は“自然”と“自分の心”とを一体化させていたが鎌倉時代くらいから、自然を客観的に見るようになった。いずれにしても日本の詩の中では「夕日が“沁み入る”」などの触覚が重要であった。 ・日本の詩の歴史では一握りの貴族による“和歌”だけでなく、最下層の人々により作られた“歌謡”も重要である。それらは“風土記”の中に散りばめられている。後白河天皇は歌謡を愛し、全国の歌謡を集めさせた「梁塵秘抄」を編纂したが、今は殆ど残っていない。「梁塵秘抄」、それからもう少し時代が下ってから編まれた「閑吟集」には、最下層の人々の土俗的で、たくましく、エロチックな「古今和歌集」には見られないようなイキイキした詩が収められている。 以上。 文学の形成もそれが“遺産”として残りうるかどうかもその国の政治体制と密接な関わりがあったのだなとつくづく思った。けれど、藤原氏がいてもいなくても、日本のような四季のある国では、同じような詩の文化が生まれていたのではないかと思う。 私は、日本語が音声的にも視覚的にも好きである。漢字文化からひらがな文化に以降していく途中のやまと歌“万葉集”を万葉仮名で読めたらいいなと思う。 また、今では僅かしか残っていない、民衆による“歌謡”を私の半分以上使い果たした人生の残り少ない脳みその領域に少しでも焼き付けておきたいと思った。
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