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感じない男 ちくま新書
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感じない男 ちくま新書

森岡正博(著者)

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感じない男 ちくま新書

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 筑摩書房/
発売年月日 2005/02/09
JAN 9784480062215

感じない男

¥220

商品レビュー

3.6

35件のお客様レビュー

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2024/12/23

押見修造が「おかえりアリス」のあとがきでこの本に触れていたので。 私には当然ながら射精の感覚は分からないわけだけど、幸福感よりも虚脱感、排泄に近い感覚ってのには結構驚いた。聞いたことはあったけど… 女性の快楽よりも喜びが少ないとは思えないけど、よく言われる「出すだけでしょ」みたい...

押見修造が「おかえりアリス」のあとがきでこの本に触れていたので。 私には当然ながら射精の感覚は分からないわけだけど、幸福感よりも虚脱感、排泄に近い感覚ってのには結構驚いた。聞いたことはあったけど… 女性の快楽よりも喜びが少ないとは思えないけど、よく言われる「出すだけでしょ」みたいな気楽さは確かにないと思う。 あとは、ロリコン的な視線。少女アイドルやロリ漫画を読む身として、少女への欲望が自分の身体への嫌悪感に由来しており、少女に到達する媒体として精液や出産というものがあるという論には、やや単純である感は否めないが同意した。ジュニアアイドルやモー娘。の表象における隠蔽されたポルノ性(決して元気印ではない!)を指摘しているのも良かった。 ものすごい哲学的洞察があるわけでもないし、性欲を赤裸々に書いているだけに嫌悪感も抱いたものの「他人を欲望の単なる踏み台にしないような、多様なセックスのあり方」を目指すという結論に到達しているのはすごいことだと思う。全体的に実直な本だった。

Posted by ブクログ

2024/10/18

「身体嫌悪からくる自己否定」はあまり自分には当てはまらない。むしろそこには自分に陶酔するナルシシズムがある。身体嫌悪があったとしても、それを産み直し(少女趣味、女体執着)という自己否定でははなく、自分の体がゴツゴツすること、毛が生えること、オスっぽさ、に耽美なるものを見出そうとす...

「身体嫌悪からくる自己否定」はあまり自分には当てはまらない。むしろそこには自分に陶酔するナルシシズムがある。身体嫌悪があったとしても、それを産み直し(少女趣味、女体執着)という自己否定でははなく、自分の体がゴツゴツすること、毛が生えること、オスっぽさ、に耽美なるものを見出そうとすることで自分を肯定する経路がある気がする。筋トレなんかはそういうものの一種なんだろうか。男である自分の体に自分がうっとりできるか、どうかに分岐がある。それに仮に自分の体に自分でうっとりするようなナルシシズムがあったとしても、少女の内側に自分を託そうとする気持ちが無いわけではないとも思う。少女になりたかったけどなれなかった自分の分岐を持ったまま、男である自分の体にうっとりするような自己愛の形がある。  精通を機に身体嫌悪が芽生えて、自己否定的になった男性の死への欲動が、今の男の体を抜け出して女の体に乗り移りたい、乗り移って自分を愛したい、そしてその内側で新しい自分自身を産み直したい、という欲望に倒錯していく、という実感の話は面白かったけど、その自閉的な世界の出口が他者への優しさと、それによる思いやりのある関係性っていうのはちょっと雑な気がした。   今ある現実の出口のなさを、自閉的な世界の物語(女に生まれ変わりたい、カルト宗教、男らしさの性規範、陰謀論)に入ることでやり過ごすけど、そこからも脱出するためにもその物語を打ち破る別軸の物語が必要なのかなと思う。つまりその人のあり得たかもしれない可能性、分岐に立ち返ること、別の分岐を擬似的に経験するためのプレイ。演技、遊び、儀礼が必要なんじゃないかと思った。バーチャルではなく身体を伴ったプレイ。  多分その自己否定、自傷によって死にきらない程度に擬似的に死を享楽するプレイは言い換えれば依存症で、その一つにルサンチマン(現実で撃つ手がない相手を想像上で復讐しようとする思考が反復すること)も含まれる。それはその人にとって出口のない現実に対する一時的な出口になる。それが本当に自分や他者を滅してしまうレベルに行かないように制するバランスや倫理はどう身につければいいんだろう。

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2024/01/24

エビデンスなんてどこ吹く風といった感じで、著者は主観から己の欲望や実体験をこれでもかと書きつけていく(むろん意図的・戦略的に)。したがって社会学あるいはフェミニズムの観点からすればツッコミどころ満載なのだけれど、ぼくはむしろその蛮勇にいかなる意味におけるイヤミもなく感服する。ここ...

エビデンスなんてどこ吹く風といった感じで、著者は主観から己の欲望や実体験をこれでもかと書きつけていく(むろん意図的・戦略的に)。したがって社会学あるいはフェミニズムの観点からすればツッコミどころ満載なのだけれど、ぼくはむしろその蛮勇にいかなる意味におけるイヤミもなく感服する。ここまで自分を晒し、かつ極論・暴論に陥ることなくこの世界にふたたび軟着陸する己の成熟・成長の過程を示すのはそのまま著者の人間力の表れでもあると思うのだ。古い本だが、本田透『電波男』『萌える男』とは別のかたちで男の苦しみを描いた実録文学

Posted by ブクログ