暁の密使

北森鴻(著者)

• 販売会社／発売会社: 小学館/
• 発売年月日: 2005/12/12
• JAN: 9784093797153

商品レビュー

2014/10/23

純粋に仏教を学び、発展させようと命を掛けて旅をする学僧が、否応なしに政府の思惑に巻き込まれてしまう話。
いいおじさんなんだけど、その性根はあまりにも純粋で、周りの人を惹きつける。
結局最後には残念な結果になってしまうのだけど、文字通り命を掛けて時代を生き抜いた人達の姿はなかなかに壮絶でした。

2010/10/15

明治政府の神仏分離令、そして廃仏毀釈運動。
冬の時代を迎えた仏道のため、仏教の原典を求め西蔵（チベット）の聖地・拉薩(ラッサ)へ向かった仏教者・能海寛(のうみゆたか)。
「不惜身命」で旅を続ける能海だが、鎖国政策を続ける西蔵への潜入は難渋を極める。
そこへ大国の思惑も入り乱れ、まさに命がけの旅路となる・・・。

タイトルに惹かれ、手に取りましたがこんな内容だったとは。
これって、『狐闇』と微妙にリンクしてますよね？
だったら続けて読みたかったなぁ。

ただ純粋に原典を目指す能海は密使なのか？
このあたりの推察は、私が何も知らなかったからかとても興味深かったです。
当時の西蔵の値打ちや大国のグレートゲームといわれる駆け引きも。
北森さんの明治政府感はけっこう共感できるものがあり、そのあたりも楽しめました。

だけど山の民の存在や廓爾喀（ごるが）旅団との闘争などは歴史モノというよりは、まさにエンターテイメントでした。
もう少し、じっくり書き込んでもよかったんじゃないかなぁ。

2010/05/06

史実をネタに脚色された話で結末は明るいものではないが、
主人公のように、一途に国を想う人がいればと思う。