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肩をすくめるアトラス
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | ビジネス社 |
発売年月日 | 2004/10/06 |
JAN | 9784828411491 |
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肩をすくめるアトラス
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商品レビュー
3.6
10件のお客様レビュー
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機会の平等や社会全体への利益という綺麗事を振りかざして他者から搾取することしか考えない共産主義的思想や行動と,個人の利益の追求を美徳として肯定する資本主義・個人主義・能力主義的思想や行動の二項対立が描かれた物語. 舞台は鉄道業や鉄鋼業が栄えていた時代のアメリカ.己は何も生み出さず,他者から奪い,ただ消費するだけの共産主義的たかり屋が,資本主義の成功者を追い詰め,ついには彼らに国を捨てさせてしまったことで,残された物乞いによってアメリカが北斗の拳の世界のような非文明的世界にまで荒廃してしまう物語が描かれている. GiverとTakerの戦い,現実主義と観念主義の戦い,リスクテイカーとゼロリスク至上主義者との戦い,正義と偽善の戦いとも読み取れる. 搾取者vs被搾取者の対立構造は,一見対等に見えるが実は全くそうではなく,搾取者は被搾取者を糾弾しつつも,被搾取者からのGiveがないと生きていけないという構造的欠陥があるため,搾取者は本質的に無力であること.そのために,被搾取者は,彼らが仕掛けるリングに立たないことが一番の有効打であることが鮮明に描かれているのが印象的. 決定を下さないこと,責任を負わず他人になすりつけること,事実ではなく空想ありきで物事を考えること,理性的であることを認めずまたは諦め信仰に身を委ねること,他人の慈悲が受け取れて当然と思うこと,自分が必要と思ったものはそれは代償なく満たされる権利があると考えること,コネの世界に生きること,自分の手元にあるものではなく無いものについて騒ぎ立て不平不満を漏らし,自分は何の行動も取らないこと.富や利益を穢らわしいものだと思うこと... 本書で描かれた身を滅ぼす搾取者の特徴は自分からとことん追い出していきたいものである. とは言え,自分自身も少なからず搾取者である瞬間を自覚することがあり,己の弱さを感じた.強くなりたい. また,日本という国全体も頻繁にフラッシュバックした.持続不可能な社会保障制度,自己責任論への行き過ぎた非難,公金ファック,不毛な政治ゲーム,MMTer,競争や生産の足を引っ張ることしかできない雇用制度... 全て本質は同じではなかろうか. =================================== "彼らは将来やれればと思っていることについて話したことがありませんでした...自分たちがやることについて話したのです。" 矛盾を感じたら前提を確認する。対立するもの同士のどちらかが間違っているとわかるから。 ・能力に応じ負担させ、必要に応じ受け取らせろ ・頑張ったけどどうしようも無かった。俺は悪くない。 ・私利私欲は悪、待つものは持たないものに機会を与えろ、でもそれに対して差し出す代償もなければ、差し出す気もない。 ・人より抜きん出る成果が全て不公平の名の下に潰される世界 計画経済、社会主義 現実論、観念論 「だからかれらは何も考えないことを正当化する理由を与えてくれる人間は誰でも祝福し、追随します。おのれの罪であり、弱みであるとかれらが知っていることを美徳にー高度に知的な美徳にーしてくれる者になら、誰でも」 →似非科学、トンデモスピリチュアルビジネスの本質 "自分以外誰の幸福についても、私が成就させたり破壊したりする力はありません。" "『感じる』ことは理由や倫理や現実に逆らうもいう意味なのです。" 正義・独立・理性・富・自尊心 慈善・統一・信仰・必要・義務 自己犠牲へのストライキ 犠牲とは、悪のために善を捨てることを意味する。 あとがき "ランドにとって共産主義に対する資本主義の有効性の論証は終わっていた。証明されなければならないのは資本主義の道徳的正統性だ。"
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所謂アメリカ的な思想を、「ツァラトゥストラはかく語りき」よろしく散文の体系で記したもの。 世界を善と悪に分けて戦わせることはジュブナイルの基本要素の一つだが、この作者では片方を有能、もう片方を無能と分けて争わせている。 ものの本で読んだのだが、右翼と左翼の思想を根っこのところまで...
所謂アメリカ的な思想を、「ツァラトゥストラはかく語りき」よろしく散文の体系で記したもの。 世界を善と悪に分けて戦わせることはジュブナイルの基本要素の一つだが、この作者では片方を有能、もう片方を無能と分けて争わせている。 ものの本で読んだのだが、右翼と左翼の思想を根っこのところまで辿ると「人間は強い存在である」と考えるのが前者で「人間は弱い存在である」と考えるのが後者だという。この小説の思想はここをさらに進めて、この世の凡そ価値のあるものは全て「有能」側の人間が作っている、だから「無能」側はそれを讃えること以外をしてはいけない、と言うところまで進めている。 「世の中に不満があるなら自分を変えろ。それが嫌なら、耳と目を閉じ、口をつぐんで孤独に暮らせ」と言うわけだ。 見方を変えれば、国家を一個の生命体とした時、その指令室である脳が機能不全を起こした世界のディストピアとも言える。熱力学の法則が正しいとすると、有能は有限に対して無能は無限であるわけで、この事態はいつか訪れ、そういう意味ではSFとも言える訳だ。浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ。但し、その風景を楽しむためには登場人物たちがあまりにも役割的なので上手くはいかない。 総じて、ある種の人々が信奉する世界観を理解するための本。
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作者のアイン・ランドが、共産主義化していくロシアからアメリカに渡った人だという予備知識があるだけでかなり読み方が変わる小説。 「必要が能力よりも、憐憫が正義よりも神聖だと信じる者によって進められたおぞましい恐怖に突入しつつある世界 」となってしまったアメリカの衰退に対して「頭脳のストライキ」で対抗するインテリ・企業家たちの戦いが描かれる。 「能力に応じて働き、必要に応じて支払われる」「資本家は寄生虫で、社会を支えているのは名もなき労働者だ 」など、共産主義に対する嫌悪感が何度も語られるほか、お金について、経済について、道徳について、数十ページにわたる演説もいくつか挟まれており、通して読むのはちょっと疲れる。
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