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未完の肖像 ハヤカワ文庫クリスティー文庫77
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 早川書房 |
発売年月日 | 2004/01/15 |
JAN | 9784151300776 |
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商品レビュー
3.8
15件のお客様レビュー
ミステリーの女王アガ…
ミステリーの女王アガサクリスティが別名義で発表した純文学小説。一人の女性の人生を丹念に描いている。苦しい時何も言わずに助けてくれるのは親だけなのだと感じた。
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本書は、推理小説では…
本書は、推理小説ではないのでご注意ください。恋愛小説ですよ。結婚に失敗して、絶望の淵に沈み込んだシーリアの心理を巧妙に描いています。クリスティーというと推理小説作家というイメージがありますが、恋愛小説も一流なんですね。
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ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。 想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。 やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛...
ノンシリーズ(メアリ・ウェストマコット編)。 想像力が豊かで内気なシーリアは、優しい母親・ミリアムや、周囲の人々に温かく見守られて不自由のない少女時代を過ごします。 やがて、美しく成長したシーリアは、穏やかで堅実なピーターと婚約していたのにも関わらず、突如現れたダーモットから猛アプローチを受けるうちに、彼に惹かれていき・・。 本書はメアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(ミステリでない方のクリスティー)シリーズの一つで、クリスティーの自伝的な内容といわれているようですね。 冒頭では、とある肖像画家が、今にも自殺してしまいそうな女性(シーリア)と知り合い、その彼女から聞いた半生を“知人の作家・メアリー”に物語にしてほしいと依頼する、というところから入っていて、そこからシーリアの長い物語が幕を開けるという構成です。 シーリアの子ども時代にかなりのページが割かれていて、そこがちょっと冗長に思われがちですが、ここで彼女のバックボーンがしっかりと描かれていることによって、その後の展開におけるシーリアの価値観への理解に繋がるのかな・・と思いました。 そして、問題の(?)ダーモットが登場してからはもう危惧した通りの展開というか、無駄だとわかっていても、シーリアの母・ミリアムと同じような気持ちで“ダーモットはやめておけ!”と思いながら読みました。 ダーモットの“やめておけポイント”は無数にあるのですが、個人的に最も“コイツはアカン!”と思ったドン引きポイントは以下の場面です。 ↓↓ ダーモット「・・約束してくれたまえ、いつまでも美しいままでいるって」(←は・・?) シーリア「でも、もしあたしが美しくなくなっても、愛してくださるでしょう?」(←頑張れ、シーリア!) ダーモット「そうはいかないよ。同じというわけにはね・・以下略」(←おいおい!お前もオッサンになるだろうが!そこは棚上げかい!) ・・と、このような身勝手なダーモットと夢見がちなシーリアとの結婚生活は、お互いが未熟だったということもあると思いますが、最初から危なっかしくて見てられない感じでした。 さらに、最高の理解者だった母・ミリアムの死で消沈していたところに、ダーモットから離婚を切り出されるというダブルパンチですっかり病んでしまったシーリアが痛々しくて、読んでてしんどかったです。 因みにこの辺りは、クリスティーの“失踪騒動”の原因となった事情とも重なりますよね。 そんな訳で、後半は結構しんどいシーリアの半生でしたが、クリスティーの巧みな人間描写で綴られているのもあって、なかなかの読み応えでございました。 あと、冒頭に登場した謎の肖像画家と、本文中に度々シーリアの妄想(?)に出てきた“切り株のような腕”という暗示が終盤で繋がってきたのもゾクっとさせられましたね。 ミステリとはまた違った味わいの、メアリ・ウェストマコット名義で描かれたロマンス小説(?)シリーズは、この作品の他に五作(全六作品)あるとのことなので、また追々読んでいきたいと思っております~。
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