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マーケティングの神話 岩波現代文庫 学術135
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 岩波書店 |
発売年月日 | 2004/12/18 |
JAN | 9784006001353 |
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マーケティングの神話
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※このレビューにはネタバレを含みます
一見、新製品開発プロセスは、消費者ニーズの発見をもとに、それを解決する製品コンセプトが生み出されるという、直線的で論理的な製品コンセプト形成プロセスを沿うように思えるが、実際はニーズもあまり見えておらず、ピボットを繰り返す中でようやく見えてきた「売れる製品」であり、無秩序なものである。 このように、巷では市場需要プル型の成功事例が喧伝されるが、技術プッシュ型も多そうだ。実際には、その中間的なプロセスを沿っていると言える。ここから、ニーズとシーズは鶏と卵であることがわかる。ゆえに、「ニーズに合わせて製品開発が行われた」は神話だし、「製品能力はひとかたまりで成立し、定義不可能」である。 以上は、1.予想されない市場の動き、2.製品の意味のずれから生じるものであり、これは製品要素が多義的であることから生じる。そのため、製品の定義は非常に困難である。 ニーズは潜在的で言語化できず、製品が用意されて始めて気づく。消費しつつ欲望を構成することもある。製品への抵抗感も「なんとなく嫌」をよく言われるストーリー(例:壁が薄い)に転嫁したりする。「良い悪い」というよりも再現性の低い状況における「好き嫌い」なのである。 また、製品とその機能は一対一対応ではなく、文化コードによる影響を受け、客観的・普遍的なものとは言えない(例:スーパードライのキレとコク、香水から得られるイメージ)。 世界は混沌としており、自身のアイデンティティが確立困難な場合、消費によって自分の生活像を把握し、理解し、コントロールしようとすることがあると言えよう。 つまり、究極の要素があり、そこから物事は論理的に演繹できるはずだという論理は、一面的な理解にとどまり、神話にすぎない。これは経験的妥当性も、有用性も持ちにくい。 ** 製品開発には、論理実証型製品開発(モノ型製品開発)と意味構成・了解型製品開発(芸術型製品開発)の2種類がある。この2つは、製品属性の客観性、消費者の属性認知の明瞭性で区別され、その違いによって開発プロトコル、市場人気の透明性が異なる。 後者は、1.必要な情報に信頼性がないため定性データに頼るしかなく、それゆえ、2.製品コンセプトの設定が困難で、データによる決め手が無いため議論に果てがなくなり、3.開発プロセス進行中にニーズや技術要件が判明することから、作業チームが統合され、そのために、4.多様な情報ソースと接触することが求められ、5.市場調査者の情報選択が製品に大きな影響を与えるために、彼らの責任・権限が重大になり、6.経験妥当性を現在のデータで確認することは不可能であるため、評価の一般妥当性が弱まり、マーケティング実験の重要性は低く、7.市場環境は不透明だと認識されている。 マーケティング・リサーチにおいて、消費目的と手段の関係が明瞭でない場合、モノの性能の消費ではなく、モノの文化的意味の消費という観点から評価し直すべきである。つまり、生活文化ルールの理解が求められる(例:製品の色、かたつむりは食べない、高すぎるブランド商品)。理解のための手がかりは、消費者は首尾一貫したルール(ライフスタイル)で自身を構成するということである。そのライフスタイルとは、時間、空間、自然、人物などについて文化的カテゴリー分けをされている。 モノ群の首尾一貫性は、文化コードが明確な集団によって共有されていれば理解可能だが、通常1.ルールは偶然的で合理性を欠き、2.文化の担い手に意味構成されていく(一方のコミュニティで理性的でももう一方ではそうと限らない)、という点で理解し難い。 消費者を理解するためには、1.消費経験に注目する(従来は購買意思決定)、2.生活というコンテクスト下での観察(ニーズは明確でないのでアンケートでは答えが出ない)が重要。調査者の認識枠組みに当てはめるのでなく、消費者の自然的態度を調べるべし。 気をつけるべきこととして、インタビューでは1.アプリオリな質問をするな(インタビュイーが神話をつくる)、2.仮説検証の場ではない、3.自由に話させる(なぜ、は神話創造の危険性があるため、製品使用時の様子を尋ねるべき)、4.事実の断片から弁証法的に考えるべき 構成された意味を伝達する際には、深く、文化コードを意識し、モノを記号として扱うようなコミュニケーション手法を用いるべき。
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一般的にマーケティングとしての意識していないままに仮定している知識、ユーザーが潜在ニーズを持っていることや、コンセプト作りがの成功が拡販のキーとなること等を様々な角度から単なる神話に過ぎないことを気づかせてくれる。日米企業のマーケティングの違いやマルクスも出てくるし、または根本的...
一般的にマーケティングとしての意識していないままに仮定している知識、ユーザーが潜在ニーズを持っていることや、コンセプト作りがの成功が拡販のキーとなること等を様々な角度から単なる神話に過ぎないことを気づかせてくれる。日米企業のマーケティングの違いやマルクスも出てくるし、または根本的な問題として科学とは何ぞやという問いまであり、かなり間口を広げた上に深堀もしている。
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・この本を選んだ理由 当団体での活動において、「人に何かを売り込む」ことについて考える機会は多いと思う。そのため、それを考える際に使うフレームワークを増やしたいと思い、選んだ。 ・本の内容の簡単なまとめ 「マーケティング」と言うと、消費者のニーズを調べてそれに合った商品やサービスを提供することだと思いがちだ。しかし、実際の現場では、それを行ってもあまり効果が無く、まさしく神話の様な存在になっている。それは、消費者が自分のニーズを正確に把握できていないということが理由として挙げられる。そのためマーケターは、消費者がどのような文化にのっとって生活をしているのかを理解し、それに合うものを提供していくべきである。 ・今後の活動に生かせそうか マーケティング戦略を考える上で、新しい考え方を知ることができたという点では生かせそう。 ・その他 学者が書いた論文なので難しめ。もっと読みやすい本が探せばありそう。 マーケティングや文化人類学を本格的に学びたい人向けかも。 社会学に興味がある人が読んでも面白いと思う。 (4年 H)
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