色即ぜねれいしょん

みうらじゅん(著者)

• 内容紹介: 著者みうらじゅんの高校時代の自伝的小説！何も特別なことがない退屈な日々。青春を探していた…。どうしようもなくなさけない、なんだか笑ってしまう、なのにふとした一言が心にグッとくる。読んだ後に爽快感を感じられる小説です。青春小説の新たな名作が、ここに誕生！
• 販売会社／発売会社: 光文社/
• 発売年月日: 2004/07/25
• JAN: 9784334924423

商品レビュー

2021/04/10

ザ青春。
悶々とした気持ちを持て余しながら、過ごしている主人公がひと夏の野望を果たしに島へ旅行に行く。野望は果たせないものの出会いと別れを経験し、日常に戻るけど、同じような日常がひと味違う。

甘酸っぱいっというほど甘くない。でも爽やかに駆け抜けるラストには、ああ、学生っていいなって思わせられる。

小学生の時に見たドラマの「stand up」？を見たくなった。

2020/09/20

夏は人を惑わせる。「ひと夏の思い出」なんてよく言われるように、やっぱ記憶に残る強烈な出来事って夏に多い気がする。甘くて酸っぱくて砂の混じった思い出。

2014/10/02

ヤンキーと体育会系が幅を利かせる京都の仏教系高校の文化系男子・乾純は、ボブ・ディランに心酔し作曲に燃えながらも、彼女もいない、何も特別なことも起こらない退屈な日々を送っていた。そんなある日、友達に夏休みの旅行に誘われた。行き先は―。

憧れや妄想、好奇心だけはどんどん広がっていくのに、自分自身は今の場所から一歩も動きだすことができない。そんな文化系男子高校生の悶々とした世界が描かれている。ここまで描くか、さすがみうらじゅん。何度「バカだな…」とつぶやいたかわからない(笑)
あるアーティストがお勧めの本として紹介していたのが読むきっかけだったため、主人公がギターを弾いたり、音楽について考えたりする場面では主人公とそのアーティストが重なるように感じた。普段はくだらないことも考えているけれど、音楽が本当に好きで、ギターは主人公にとって、自分の前に広がる未知の世界を切り開いていく為の唯一の武器と言っても過言ではない。文化祭のライブに主人公は出演する。それまで人前で歌を披露したのは数える程度。それでも「期待ばかりしていても何も起こらない。自分から道を切り開くんだ！」とギターで自分の世界を変えようと動き出す。普段はさえない主人公だが、音楽を味方にして立ち向かっていく姿は清々しくて格好よかった。
何かひとつでも自分の“武器”、自分を表現する“言葉”があると、人は強くなれる。私はそんな強い“言葉”を持っていない。これから育てていきたい、と思っているところである。新しい世界に飛び込むために、私だけの強い“言葉”を持ちたい。