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イルカの歌 白水Uブックス147海外小説の誘惑
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商品詳細
内容紹介 | |
---|---|
販売会社/発売会社 | 白水社/ |
発売年月日 | 2004/07/10 |
JAN | 9784560071472 |
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イルカの歌
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商品レビュー
3.7
8件のお客様レビュー
イルカに育てられた少…
イルカに育てられた少女の物語。涙なしには読めません。
文庫OFF
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
沿岸警備隊は、ある日、海岸で何かを見つける。「最初みたときは人魚かと思いました」。しかし、それは人魚ではなく人間の少女だった。イルカに育てられた少女ミラは、人間の世界に連れ戻され、人間として生きることを学んでいく。しかし、彼女の心からいつまでも離れなかったのは、海にいる家族と、海にあふれる音楽だった。 ミラがイルカの仲間たちと過ごす海の世界の描写が美しく、その暮らしの不思議さと豊かさに浸ることができた。 「海は、生きている音楽だ。魚のつぶやき、風のうなり声、波が打ちよせるときの、小石や砂や海草や暗礁のおしゃべり。なにもかもが音楽だ。」 「いつも歌や音があふれている。体の内側にも外側にも、皮膚にも、骨のなかにも、歌や音があふれている。ほかにはなにもいらない。わたしは尻尾で波の上に立ったり波を飛び越えたりできないし、魚をつかまえたり、音もなくすべるように泳いだりすることもできないし、かん高い鳴き声や物語の深い意味もぜんぶはわからないけれど、わたしも長い歌の一部だ。わたしはわたしなりのカチカチ、ピィピィ、キィキィという音をたてて、物語を語る。うれしい物語を、語る。」 野生児の教育施設の場面では、生まれたての幼児のように人間の世界を捉えていくミラの驚きや喜び、戸惑いなどがよく伝わってきた。そのシーンは、大きなフォントで、言葉を覚えたてのミラが語るような文体。その文体に惹かれ、吸い込まれるようにページをめくっていた。 「ベックせんせいがいう。みみはどれ? あたしはみみのえをゆびさす。 ベックせんせいがいう。よくできたわね、ミラ。めはどれ?」 ジャスティンに芽生えた恋心に後ろ髪を惹かれながら海に戻っていくミラに、切なさを感じた。イルカとともに愛情をうけて育ちながら、けれども人間であるということの切なさだなあ。でも、人間に「連れ戻された」ミラが、イルカの家族のもとに帰ることができ、安堵を覚えながら本を閉じた。美しい物語だった。
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ずーっと、哀しさに満ちている物語だった。バスの中で読み始めた時から、今はそうしたくなくても涙の幕が眼球を覆っていて。 イルカと暮らしていた野生児の少女が人間に保護(というより捕獲)され、研究施設のような場所で研究者と擬似家族として暮らすんだけど、研究者の求める「人間」になれたら、...
ずーっと、哀しさに満ちている物語だった。バスの中で読み始めた時から、今はそうしたくなくても涙の幕が眼球を覆っていて。 イルカと暮らしていた野生児の少女が人間に保護(というより捕獲)され、研究施設のような場所で研究者と擬似家族として暮らすんだけど、研究者の求める「人間」になれたら、海に還って自由に暮らせるんだと努力する…「イルカの女の子」ミラがいじらしくて可哀想でたまらない。 同じ野生児として研究施設の別の部屋で暮らすシェイや、研究者の息子ジャスティンなど、それぞれ別の哀しみを纏った登場人物の配置もとても良かった。物語に複雑な色味を添えていたと思う。
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