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エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死
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エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死

スティーヴンミルハウザー(著者), 岸本佐知子(訳者)

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エドウィン・マルハウス あるアメリカ作家の生と死

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 白水社/
発売年月日 2003/08/09
JAN 9784560047682

エドウィン・マルハウス

¥550

商品レビュー

4.6

15件のお客様レビュー

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2021/11/20

最初はエドウィン変な子だなーと思いながら読んでたけど途中でジェフリーの異常さに気づくとエドウィンが子供らしくて可愛く感じてくる。

Posted by ブクログ

2016/06/29

「グロテスクな愛らしさ」これはジェフリーがエドウィンの嗜好について表した言葉だけれど、私はジェフリー自身のことをより表していると思った。子どもは決して純真な天使などではなく、生々しく闇を抱えた存在でもあることが鮮やかに感受性豊かに描かれていた。傑作。

Posted by ブクログ

2014/12/29

12/26 読了。 11歳のジェフリー・カートランドは、その驚異的な記憶力を駆使して、同じく11歳で死んだ幼馴染エドウィン・マルハウスの伝記を書く。それは生後6ヶ月のジェフリーが新生児のエドウィンと初めて対面した瞬間から、彼の心を支配し続けた使命だった。エドウィンは言葉の持つ意味...

12/26 読了。 11歳のジェフリー・カートランドは、その驚異的な記憶力を駆使して、同じく11歳で死んだ幼馴染エドウィン・マルハウスの伝記を書く。それは生後6ヶ月のジェフリーが新生児のエドウィンと初めて対面した瞬間から、彼の心を支配し続けた使命だった。エドウィンは言葉の持つ意味と音とを全く別のものとして捉えていたがゆえに、平均よりも言葉を覚えるのが遅かったが、それは特異な言葉遊びのセンスを培う土壌でもあった。絵本とアニメ映画が大好きなエドウィンは、病弱なために両親によって地下室に閉じ込められている年上の男の子エドワード・ペンが壁に書き殴ったアニメキャラの世界に夢中になる。性悪な少女に恋をしたことを誰にも話さず衰弱するまでふさぎ込んだり、不良の転校生に預けられた銃を引き出しの中に隠し持っていたりもする。そして遂に10歳にして傑作小説「まんが」(足穂の「一千一秒物語」そっくり!)を完成させたエドウィンは、"11歳の誕生日に自分の人生そのものを芸術へと昇華させる"という考えに取り憑かれ始める。幼馴染のジェフリーはその全てを見届け、そして書いた。 ミルハウザーの偏執狂的なディテールへの拘りが、セピア色のノスタルジーではなく極彩色の悪夢としての少年時代を眩暈がするほどくっきりと立ち上がらせる大傑作。 まず、11歳という年齢の設定が絶妙。思春期を目前としながら異性を見下しているため、同性同士の繋がりの方が余程強固で依存度が高く、とはいえ自分は親友よりもちょっぴり優位に立っていたい、という年齢の焦燥感と執着心。こういうプレティーンあるいはローティーン期における性愛未満の同性愛的な友情は少女について書かれたものが多いが、少年たちだって切実に"自分の片割れ"を求めているのだ。エドウィンが挙げた「僕の人生に大きく影響を与えた3人の人物」の中に入れてもらえず、後から「それと、君もね」と慌てて付け足したエドウィンに対して悔し紛れに「君は昔から計算が下手くそだからな」と返すジェフリーの姿には、心臓を針の先で突かれているような痛みを感じる。 ジェフリーは自らの執着心を伝記作家としての使命と結びつけているが、実際なかなか危うい地点まで進んでいる。例えば、エドウィンが再び恋の病に取り憑かれたと思い込み、恋の候補者である少女4人に聞き込みをしているうちに勘違いされて(仕向けて)ジェフリーは全員からラブレターを貰ってしまうのだが、そのラブレターをベッドで伏せているエドウィンに読ませながら「エドウィンよ、泣くがいい!叫ぶがいい!頼むからその手紙を破り捨ててくれ。あの女狐たちの顔など、二度と見たくないと言ってくれ」と吐き出す心情は、屈折した恋心と呼んでもいいのではないだろうか(私は『こころ』の先生がKに「向上心のない者はばかだ」というシーンにも匹敵すると思う)?また、執筆にかかりきりになったエドウィンの代わりに彼の妹のカレンと遊びながら、「僕は兄たちに見捨てられたこの世の妹たちの哀れさを思い、悲しみに胸を詰まらせた。それが他ならぬ自分に対する悲しみだと、心のどこかで知りながら」と独白するジェフリーは、自分の感情に気付き始めていたに違いない。勿論、これは本書を同性愛小説だと断じたいわけではなく、11歳という年齢ならではの切実な問題がプロットと分かち難く結びついていることを言いたいのである。思い当たる節がありすぎるエピソードがザクザク出てくるので、自分の小学生時代のトラウマをたくさん思い出してしまった…。 エドウィンの伝記を書き終えたあと、ジェフリーはどこへ行ったのだろう。序文によれば行方知れずになっているというが、私はジェフリーはこの本の中に閉じ込められてしまったのだと思う。ジェフリーは徹底して観察者であり、エドウィンを映し出す鏡として存在した影=分身だった。彼は自らの使命を好んでおり、「芸術家は芸術を生み出すが、伝記作家は芸術家を生み出す」「僕がいなければ、エドウィン、君は果たして存在していただろうか?」と嘯くが、彼の方こそエドウィンなくして存在することはできないのである。だからこそ遂にエドウィンが11歳の誕生日を迎える一連のシーンは、ポーの「ウィリアム・ウィルソン」のクライマックスにも似た緊迫感を持つ。エドウィンの存在が伝記なしには証明できないように、エドウィンの消えた世界に観察者の生きる場所もないのだ、永遠に少年時代を閉じ込めたこの本以外には。

Posted by ブクログ

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