いちばん好きなこと一直線 子育ては、父親最大の仕事

鈴木宣之(著者)

• 販売会社／発売会社: 麗沢大学出版会/広池学園事業部
• 発売年月日: 2003/03/24
• JAN: 9784892054570

商品レビュー

2015/08/01

●人間はなんでもかんでもできるというわけにはいかない。ひとつの事に集中し、それを極める。たくさんの道ではなく、一本の道をどこまでも進んでいけば、その道はやがてあらゆる道に通じる。これをなしとげた人生はどんなことがあっても、ほかの人は必ず認めてくれる。迷わないで一つの生き方をやりとげたときには、それがいちばん価値のあることだから、好きなことをどこまでもやってみることが大切だ。

●人が生きるということは、人に生かされて生きるということ。

●教育者というと一般には、教えるべき何かを持ったものが、何も持たないものへそれを伝授するというイメージだが、私とイチローの関係は、教師と生徒ではなかった。もしそういう意識だったら、１５年という年月は続かなかったろう。逆に私はイチローから野球を「楽しむこと」を教わった。「遊ぶ」ことも教わった。それが同時に私の人生の切り替えの時だった。

●遊ぶこと、楽しむことを正業にしていいのだ。もしイチローが数学好きだったら、数学を楽しんで数学者になったらいい。機械が好きだったら、機械を学んでエンジニアになったら楽しいだろう。好きなこと、楽しいことに打ち込める人生が、誰がなんと言おうと、最も幸せな人生だろう。「自分の好きなことに向かって生き抜きなさい」

●私は、実社会で６０年という年月を経験して、いろいろな世界を見てきた分、考えはいたずらに広がるばかりであったが、もし、時代を担う日本の若者が好きなことに集中して生き生きとやってくれたら、日本の将来は素晴らしいものになるに違いないと想像して、いつも胸がいっぱいになった。イチローに荷担したことで私自身が変わったように、日本中が新しい若者の才能に荷担したら、世界はどうなるのだろう。

●人は最終的に何を目指すか。
メジャーリーガーの中のスターとは、アメリカ社会で人を愛し、親を敬うことを自身が示すことで子どもたちの模範になっている者をいう。それは、フィジカルにも、メンタルにも、スピリチュアルにも完成された者、そう、日本流にいえば、心技体が完成された者だけに与えられる勲章であると私は思っている。