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サラマンダー 無限の書
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サラマンダー 無限の書

トマスウォートン(著者), 宇佐川晶子(訳者)

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サラマンダー 無限の書

定価 ¥2,640

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商品詳細

内容紹介
販売会社/発売会社 早川書房/
発売年月日 2003/08/31
JAN 9784152085009

サラマンダー

¥110

商品レビュー

3.4

5件のお客様レビュー

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2017/03/31

図書館で。 ずっと動いているカラクリ仕掛けのお城とか印刷の活字とか色々おもちゃ好き心をくすぐるものはあるのですが。肝心の内容についていけずなんかちょっと置いてきぼり感を感じました。ビジュアル的には色々と好みなんだけどな。陶製のねじまき人形とか。 製本を職業にしている印刷工に本を...

図書館で。 ずっと動いているカラクリ仕掛けのお城とか印刷の活字とか色々おもちゃ好き心をくすぐるものはあるのですが。肝心の内容についていけずなんかちょっと置いてきぼり感を感じました。ビジュアル的には色々と好みなんだけどな。陶製のねじまき人形とか。 製本を職業にしている印刷工に本を作れというのはワカルけどその内容までも一任するってのはなんか違わないか?と思ってしまいました。今だったらきっとネットが始まりも終わりも無いとてつもない数のお話が詰まっている媒体なんだろうなぁと思う。箱じゃないし印刷でもないけど。 暗闇でほんのりと光る印刷とか蜻蛉の翅のような薄さの紙とかそう言うのはロマンだなぁと思うんですが彼らの旅はいささかちょっと目的意識についていけず戸惑いました。

Posted by ブクログ

2013/03/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

マトリョーシカ人形というのをご存知だろうか。瓢箪型の人形を胴部で二つに割ると、その中から同じ形をした少し小ぶりの人形が現れる。それを開くと、また同じ人形が現れる仕掛けを持つロシアの素朴な郷土玩具を。あるいは、ミシェル・レリスが『成熟の季節』の中で紹介している粉ミルクの缶を持つ女の子の絵が描かれた粉ミルクの缶の話でもよいが、これら「入れ子細工」の持つ魅力は、人間が「無限」や「永遠」というものに寄せる憧憬をそれとなく証している。 物語の世界で、入れ子構造が特徴的なのは言わずと知れた『千夜一夜物語』だろう。カリフの悪癖を思いとどまらせるために終わることなく語り続けられねばならなかった物語は、一つの物語の中にまた別の物語が胚胎する入れ子構造を必然的にとることになった。「終わることのない書物」を夢見ない物語作者はいない。「無限の書」という副題を持つ『サラマンダー』もまた、その夢のために紡がれた一つの奇矯なテクストである。 どのような物語も、物語である以上プロップの「民話の形態学」に示された要素から自由ではあり得ない。この物語もまた、「依頼と代行」についての物語である。依頼者はサヴォイ王国のオストロフ伯爵。任務を授かったのは、ロンドンの印刷職人フラッド。その任務とは、「始まりも終わりもない書物」を作ること。物語は18世紀のケベックで幕を開けるが、それは所謂「額縁」で、話の本筋はフラッドとその一行が、依頼を受けた本を創るための活字やインク、紙を求めて世界各地を彷徨う探索行である。読み進めるうちに読者は、額縁を忘れ、知らぬ間に絵の中に入り込んでしまう。そして、その絵の中には、また別の絵が描かれているという仕掛けである。 18世紀初頭、オスマン=トルコ軍との戦いで最愛の息子を失ったオストロフ伯爵は、軍籍を辞し、スロヴァキアにある自分の城に隠遁するが、生来の謎を好む嗜好が嵩じて、機械仕掛けで部屋や廊下が動く城を造り続けることに没頭する。また、そこには古今の珍書稀書が集められ、その膨大な蔵書を管理する仕事は、幼少時の病気のせいでコルセットなしでは立つことのできない令嬢イレーナに任されていた。 珍本作りの腕を見込まれて城に呼ばれた印刷職人のフラッドは伯爵の留守中にイレーナと恋に落ちる。しかし、伯爵の知るところとなり、十一年もの間、城の地下に幽閉される。フラッドは「無限の書」を空想裡に印刷することで狂気から免れる。彼の幽閉を解くのは、二人の間にできた娘パイカである。城を抜け出した父子は、雇われていた曲芸師たちとともに、伯爵の船で旅を続ける。父は「無限の書」の完成を目指し、娘は、未だ見ぬ母を求めて。あるときは、氷山の流れる海を、あるいは、珍しい紙を求めて広東を、地下に穿たれた「物語の井戸」に数万巻の古文書を蔵するアレキサンドリアを。 作者も明かしているが、「無限の書」のアイデアを得たのは、ボルヘスの短編『砂の本』に出てくる「まるで、本からページがどんどん湧き出て来るようだ」と評される「砂の本」である。ボルヘスが哲学的な象徴として取り上げた「無限の書」を作者はマニエリスム的手法を用いて、実体化しようとする。ユダヤ人の天才冶金師キルシュナーの手になる、文字が水銀のプールの中で上下に浮動する「鳥肌活字」、堕天使の血と成分を同じくするといわれる「本物の泣きインク」、世界でもっとも高価な紙「最高級亀」、これらが揃うとき、「無限の書」が完成するのだ。 キルシュナーはフラッドに言う。「この世界は意識が必要な物を供給するまでは、はかない幻のような、たいていは空っぽの空間なのだ」「それが世界の本質なら、想像上の本はばかげた夢ではなく現実の暗示なのだ」と。機械仕掛けで城中の部屋や家具が移動したり、磁器製の自動人形が本作りを手伝ったり、作者の想像する世界は、18世紀においてはばかげた夢のような物だが、今の世界では現実化されている。ならば、21世紀の今、空っぽの空間に私たちの意識が供給しているものとは何かを想像して愕然とした。本を愛する人にこそお薦めしたい一冊。

Posted by ブクログ

2005/08/02

「本をテーマにした本」を探していて、見つけた本です。わたしは「本」をキーワードにして読んでいるのですが、自分の好みとは違ったジャンルの本まで読むことができるようになり、目を瞑ってクルクル回るような楽しい気分を味合わせてくれる本でした。

Posted by ブクログ

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