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健康帝国ナチス
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商品詳細
| 内容紹介 | |
|---|---|
| 販売会社/発売会社 | 草思社 |
| 発売年月日 | 2003/09/01 |
| JAN | 9784794212269 |
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健康帝国ナチス
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商品レビュー
4
10件のお客様レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
はるか昔に読んだ本だが、最近この本をを思い出すようなニュースが多くなった様な気がする。科学的知識のつまみ食いやスピリチュアルと紐づいた謎健康指向にはご注意を。
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- ネタバレ
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原著のタイトルは『ナチスのガン戦争』。読み始めた時は翻訳本にありがちな、和訳の時に余計なことして原著の真意を壊してしまったタイトルかと思いましたが、訳者は後書きで「ガン以外のテーマにも多く触れているため、あえてこのタイトルにした」と述べています。 確かにアルコールの制限や肉の摂取制限などといった「健康志向のナチス」という側面も語られていますが、本の大半が職業病として発生するガンとタバコに起因する肺ガンへのナチスの取り組みに割かれていることを考えると、果たしてこのタイトルが正解だったのかどうかは読了した今でも釈然とはしていません。 読者を惹きつけることだけを考えたら、好いタイトルになっているとは思いますが。 健康なドイツ国民を増やし純性を高めようとした一方、純粋でない他民族(特にユダヤ)を排除しようとしたナチス。 効率性を追求する中で、非効率を生み出すタバコやアルコールを「ドイツの経済と軍事力の敵」とみなし、排除しようとしたナチス。 自然回帰的、自然食志向的な側面を間違いなく持っていたナチス。 理想的な世界として、人はできる限り長く働き、老人や非生産的な弱者は社会に負担をかけないように早く死んでいくのがよいと考えたナチス。 著者も述べているように、「ナチス」という背景とフィルターをかけてしまうと反射的に拒否、黙殺してしまう雰囲気がある一方、そのフィルターがなければ一概に「悪」と決めつけて断罪し、切り捨てるわけにもいかないような政策や研究結果が存在していたこと(しかも一部はアメリカやイギリスなどより遥かに早い段階から)自体は、やはり中立的な視点から知っておくべきだと思います。単純な善悪論、敵味方論では辿り着けない内容になっていて、非常に面白いです。「日常的な平凡な科学の実践と、残虐行為の実践とが共存しうることを理解すべき」という著者の言葉は非常に重いと言えるでしょう。
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第二次大戦でヨーロッパを侵略したナチス・ドイツは、悪の帝国のイメージがあるが、健康医療に関しては最先端の考え方を持っていた。 タバコ撲滅運動、アルコールの害毒性の認識、肉の食べすぎの危険性、 ガン撲滅など現代の健康思想に通じる考え方でもあり、大戦前からナチスが健康増進活動に取組ん...
第二次大戦でヨーロッパを侵略したナチス・ドイツは、悪の帝国のイメージがあるが、健康医療に関しては最先端の考え方を持っていた。 タバコ撲滅運動、アルコールの害毒性の認識、肉の食べすぎの危険性、 ガン撲滅など現代の健康思想に通じる考え方でもあり、大戦前からナチスが健康増進活動に取組んでいたといいうのは驚いた。 ヒトラーには、ゲルマン民族を世界で最も優秀な民族とする優生思想があり、そのためには、国民を健康で優秀な人間にすることが命題のひとつであった。そもそもヒトラー自身が禁欲的で、体に悪いとされるタバコや肉食やアルコールを好まなかったという面もある。第二次大戦の勝利者の連合国側のリーダー達が、健康に悪いとされるこれらの嗜好品を好んでいたのとは対称的だったようだ。 一方で、ユダヤ人を人体実験に使ったり殺戮したり、健康のためというより優生思想を反映した部分もあり、著者もナチスの健康増進政策が必ずしも良いものとは認めていない。 もしナチスが勝利し、欧州を支配していたとしたらどんな世界になったのだろう。タバコや酒などの嗜好品はストレス解消に役立つこともある。これらが撲滅された健康帝国は、体は健康であっても精神的なストレスを抱えた不健康帝国になったかもしれない。
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