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不可触民と現代インド 光文社新書
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商品詳細
内容紹介 | |
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販売会社/発売会社 | 光文社/ |
発売年月日 | 2003/11/20 |
JAN | 9784334032234 |
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不可触民と現代インド
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不可触民と現代インド
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商品レビュー
3.8
11件のお客様レビュー
正直、インドほどよく判らない国はそうそう無い。学生時代は世界史を専攻していたので、インド史は覚えづらい人命やら王朝がわんさか出てきて苦労したのをよく覚えている。漠然と記憶しているインドとはヒンドゥー教の国である事、それによるカースト制度が存在する事、長らくイギリスの植民地支配下に...
正直、インドほどよく判らない国はそうそう無い。学生時代は世界史を専攻していたので、インド史は覚えづらい人命やら王朝がわんさか出てきて苦労したのをよく覚えている。漠然と記憶しているインドとはヒンドゥー教の国である事、それによるカースト制度が存在する事、長らくイギリスの植民地支配下にあり東インド会社を中心に世界の貿易拠点となっていた?事ぐらい。人命ならマハトマ・ガンディー、初代首相のネール(ネルー)、チャンドラ・ボースにパール判事あたりだろうか。私はインドカレー好きだから周りにインド人も沢山いるが、彼らの国がどんなものか気にした事も無かった。近年は著名なIT企業(グローバル)の社長や役員に必ずインド人が含まれており、流石数学の得意な国だ、と漠然と感じる程度。 本書はインドに暮らし学んだ筆者が記す、生のインドの声を集めたものだ。前述の通り厳しいカースト制度は未だインド国民の心を支配し、社会・政治・経済はカーストの厳しい身分制度の影響を強く受ける。バラモン(ブラーミン:僧侶)、クシャトリヤ(戦士・軍人)、ヴァイシャ(商人)に属する上位カーストは国民全体の15%足らず、彼らへの奉仕者であるシュードラ(奉仕者)が60%、それらカースト4姓制度よりも更に下位に位置する下位カースト・指定カーストと呼ばれる「不可触民」が25%と、下位層は85%を占める社会構造だ。海外から見たインドはヒンドゥー教の国であるが、それは身分制を維持したい上位カーストが何とか支えているものであり、実態は身分制の下位に甘んじ、就きたい職業にも就く機会さえない国民はそうした身分制を心から支持する事はない。然し乍ら、アーリヤ人が押し寄せた時代から侵略者達によって作られた(遺伝子調査で上位カーストはヨーロッパ系)身分制度は何千年と人々の心を支配したし、植民地化したイギリスにとっても、社会秩序維持のために好都合な制度だった。そうしてインド人の心の中に深く根差した身分に対する考え方がそう簡単に無くなる事はない。そうした考え方を制度面からも改善しようとしたのが、本書の中心的な存在となるアンベードカルである。不可触民出身でありながら様々な学問を修め政治の世界に身を投じた人物で、あのガンディーとも闘っている。ガンディーはインド独立の父ではあるが、それはヒンドゥー教上位階層が作り出したインドに都合の良い人物像とし、不可触民やシュードラなどの下位層を含まないインドの父であるとする。そうすると、下位カーストが85%を占めるインド人の大半はヒンドゥーの教えに則り自由が存在しない。アンベードカルはこうしたインドの現状を訴えガンディーとも対立するのである。 アンベードカルはひたすらに身分制度撤廃に向けて活動を続けるし、初代法務大臣として下位カーストの社会進出促進のために様々な法を整備する。これにより学問さえ積めば公務員になる道も一定程度保障されるようになった。また身分制を根底とするヒンドゥー教を捨て仏教に改宗するとともに、その後のインド内における仏教回帰への力強い支えになる。その後日本人の佐々井秀嶺へと引き継がれ、インドの仏教復興へと繋がっていく、本書はこれをブッダのインドに始まり、中国・日本を経て再びインドに戻る回帰と表現している。 それら社会的な風潮の根底にあるのは、人は誰でも自由平等であり身分による差別を受けない、という先進国の憲法に必ず含まれる当たり前の権利だ。インドという国が不思議に映る理由の一つがそれなのだが、女性に対する権利の低さは身分制に更に輪をかける。社会においても家庭内においても女性の立場は更に虐げられており、政界・経済界のリーダーも少ない。本書後半はそんな中で台頭した初の女性州知事マヤワティーにも触れる。女性の社会進出が身分制を超える以上に如何に大変で困難を伴う事か、そして改革するには極端にでもルールを変えていく強い信念が必要である事が伝わってくる。因みに本書中盤では、一時期書籍で話題になった女盗賊プーラン・デヴィを始めとした地方の盗賊にも触れており、インド社会の複雑さを理解する助けになっている。 本書を読みインドへの理解を深めると共に、何も知らずインドへの投資を考えてしまった自分を恥じてしまった。
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この本が出版されたのが2003年。 16年とちょっと経った今、SDGsという国際目標が広まる中でインドはどう変わったのか読み終えた今は気になってます。
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インドカースト問題における日本人第一人者の山際素男の「不可触民」続編。ショッキングな現状よりも、現代インドの、目覚めた不可触民たちがいかにしてその歴史文化的ジレンマと戦い進んでいるかのレポート。 これを読んで正直自身の理解の足りなさ、関心の低さに失望する思いだった。アンベード...
インドカースト問題における日本人第一人者の山際素男の「不可触民」続編。ショッキングな現状よりも、現代インドの、目覚めた不可触民たちがいかにしてその歴史文化的ジレンマと戦い進んでいるかのレポート。 これを読んで正直自身の理解の足りなさ、関心の低さに失望する思いだった。アンベードカルを全く知らなかったし、聖人ガンジーとは何者であるかと再考せざるを得なくなった。歴史と宗教、そして人の生命に対して思いを巡らす時間になった。 17/2/27
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